私を変えたあの人、あの言葉 山添百合さん - 京都大学広報誌『紅萠』

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私を変えた あの人・あの言葉

2023年秋号

私を変えたあの人、あの言葉

どこを切っても 競技かるた一色の大学時代

山添百合さん
小倉百人一首競技かるた 第67期クイーン

小3で競技かるたを始めてから、かるたは私の生活の中心です。大学時代の思い出も、思い返すといつもかるたと共にありました。

練習に通っていた京都小倉かるた会で、なにかと面倒をみてくださった京大生の皆さんに憧れて、京都大学に進学しました。入学後は、京都大学かるた会の部室で練習に励みながら、授業の時間割もみっちり埋めて、積極的に履修しました。思い出深いのはやはり和歌の授業。これまでは和歌を「音」として捉えていた私には、限られた文字数のなかにこめられた工夫や読み手の情感を知ることは驚きの連続でした。高校教師の道を選んだ現在は、古文を教えるたびに当時の感動が蘇り、同じ驚きを感じてほしくて、ついつい熱がこもります。


京大かるた部を初の団体優勝に導く

大学時代、なにより思い出深いのは、全国日本大学かるた選手権と、全国職域学生かるた大会での団体戦ダブル優勝です。もちろん、入学当初からの目標でしたが、2回生の頃、のちにかるた名人となるくめはら圭太郎さんの入部が追い風となり、優勝への思いはさらに強くなり、練習は熱を帯びました。けれども、ライバル校の壁は厚く、あと一歩というところで優勝を逃す年が続きました。

転機は4回生の頃。「メンバー同士で日頃から話し合う雰囲気を作れば、もっと強くなれる」。練習中にチームメイトがつぶやいた一言が、私の意識を変えました。一人ひとりの実力が伸びれば自ずと勝利に近づくものと思い、個人練習に集中していたのですが、確かに団体戦では、事前に相手チームの戦略を予想して対策を講じたり、互いに声掛けができる試合中に、誰がどんな風に雰囲気を作るのかを考えることも重要なんです。この意識の転換がチームの結束を高め、優勝への道を拓いてくれました。

大学時代は時間があれば部室に通い、かるたが大好きな仲間たちと、時間を忘れて、数えきれないほど対戦しました。そんな仲間を眺めることを楽しみに部室に通う部員もいたり……。部室に満ちる自由な雰囲気が心地よかった。京大全体にもそんな雰囲気がありました。大好きなかるたをもっと好きになれたのは、勉強でも研究でも、私のように部活でも、それそれの好奇心や情熱を尊重しあって邁進できた京大だったからこそだと感じています。

団体戦での優勝は、京都大学かるた会の創部以来、初となる快挙。毎年、デザインを新しく考えるという、お揃いのユニフォームで試合に臨む

2度目の防衛戦である、2023年のクイーン位決定戦での試合。挑戦者を迎え撃つ心持ちで、堂々と試合に挑むことを心掛けているという


やまぞえ・ゆり
1991年、京都府に生まれる。2013年、京都大学文学部を卒業後、洛南高等学校国語科教諭として着任。かるた八段。2021年に競技かるたの日本一を決めるクイーン位決定戦で勝利し、第65期クイーンを獲得。2022年、2023年も勝利し、3連覇を果たした。

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