2023年春号
輝け!京大スピリット
Kyoto iUP 留学生 プトリ・ジェアン・ケイコさん(農学部2回生)
壮大な熱帯林が広がり、豊かな生物多様性を誇るインドネシア。世界有数の農業国でもあり、人口の約2割が農業に従事する。「しかし、農業・輸送技術の改革は進んでいるとは言えません。母国の農業の質の向上に貢献したくて、農学部への進学を志しました」。真っすぐなまなざしでそう話すプトリさん。世界各国から最優秀層の学生を受け入れる国際プログラム「Kyoto iUP*」の第3期生だ。
従来の留学生むけのプログラムとは違い、日本人学生と同様のカリキュラムで学ぶことが求められるKyoto iUP。特に、学部専門教育では高い日本語力も必要。プトリさんはインドネシア語に加えて、英語、日本語を話すトリリンガルだ。「『ケイコ』という名前は、父の友人の日本人が付けてくれました。京都大学を勧めてくれたのもその方です」。農学分野の中でも関心があるのが、ICTの活用など、工学的手法で農業の最適化を考える農業システム工学。「日本でこの分野を学べるのは京大だけ。父の友人の影響や日本旅行の経験もあり、日本での暮らしに不安はありませんでした。唯一の心配は、難しいと聞いていた学部入試で合格できるかどうか(笑)」。
無事に合格をつかみ取り、京大生に。Kyoto iUPには、学部入学前に半年間、日本語や日本文化を学ぶ予備教育課程がある。4年半の学びを終え、「京都大学学士」を取得する頃には、高度な日本語運用の力と専門知識が身に付く。「入学後に驚いたのはフレンドリーでウェルカムな雰囲気。入学難易度の高い大学という情報から想像する印象とは違い、学生はもちろん、教員も熱心にサポートしてくれます」。
幅広い科目を受講し、イベントやインターンシップに積極的に参加するなど、充実した日々を送る。印象的だったのは、食べ物が消費者に届くまでの流れを学ぶ授業の一環で、南丹市園部町の農家を訪ねたこと。「天候の影響で作物がうまく育たなかったり、それに伴って収入が変動するなどの課題は講義でも学びますが、農家の方の実感を伴った言葉は胸にスッと届くんです。刺激になりました」。
卒業後は大学院に進学し、将来的にはアグリビジネスの分野での起業を目指す。「農家での農作業体験でコンバインがうまく扱えず、農業の担い手には向いていないと痛感(笑)。システムの面から、農家数の減少などに対抗する提案ができるよう頑張りたいです。AI技術を生かしたスマート農業の知見を深めたくて、関連する授業も積極的に受講しています。チャンスがたくさん転がっているのは京都大学の良さ」。世界各国から集結した留学生や日本人学生との切磋琢磨を経て、世界に羽ばたく日が楽しみだ。
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