2021年春号
輝け!京大スピリット
フィールドホッケー部
主務 西岡貴優さん(工学部3回生)
北部構内のグラウンドの一角、芝の緑色が少し薄いエリアがフィールドホッケー部のコート。競技用フィールドの半分ほどの大きさだが、コートの中ではスティックを操る部員たちが勢いよく駆け回っていた。「あれはボール回しといって、自陣のゴールラインから攻め上がるときのビルドアップの練習なんです」。そう教えてくれたのは、主務の西岡貴優さん。
「ホッケーの魅力は攻守が目まぐるしく入れ替わるスピード感」と西岡さん。ホッケー用の芝丈の短い人工芝の上を、スティックで打ち出された直径約8.5センチメートルの硬球が飛び交う。シュートはゴール前の半径約15メートルのサークル内からしか打てず、いかに素早くボールを運び、ゴールに繋げるかがカギとなる。
プレイヤーは11人。西岡さんは中盤のポジションで相手のボールを奪う役割を担う。膝より下にしか飛んでこないボールに備え、手が地面に着くほど低く身を屈める守りの姿勢から、攻めに転じる好機を狙う。「他のスポーツのディフェンスは一対一が多いですが、ホッケーはチームプレー。連携してボールを奪えたときが一番気持ちいい」。相手チームの動きを緻密に分析し、自由にプレーさせない堅守が京大ホッケー部の強みだ。
ホッケー選手だった母の影響で、幼い頃から試合映像を見て育った西岡さん。高校まではプレーする環境がなかったが、京都大学の受験を考えたときにはホッケー部の存在を意識していたという。憧れのホッケー部で目指すは、強豪ひしめく関西学生リーグ1部への昇格。「入部したときの先輩たちは1部の強豪校と渡りあっていた。その勇姿が目に焼き付いています」。2012年の創部以来、躍進を続ける女子部とともに、さらなる高みに挑む。
2020年は秋リーグの順位決定戦の後の入れ替え戦での1部昇格を目指していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で1年後に持ち越しとなった。試合はもちろん、練習すらできない日々が続いた。それでもこの状況下だからこそ、気付けたことがある。「体育会執行部や厚生課の方々の尽力に触れ、私たちが部活動できるのは、多くの人に支えられているからなんだと気付きました」。
主務としてやるべきことは何かと、自身に問いかけた西岡さんは、体育会が作成したコロナ対策用ガイドラインをホッケー部に合わせてアレンジし、部員たちに率先垂範。「仲の良い部だからこそ、引き締め役が必要かなと。うるさく思われているかもしれませんが......」。照れくさそうに西岡さんは笑った。全ては学生リーグ1部昇格という歓喜の瞬間のために、今はホッケーができる喜びを噛みしめる。身を屈め、絶好のチャンスをものにしようと前を見据えながら。
フィールドホッケー部2020年度主将
村田春菜さん
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