2016年秋号
輝け!京大スピリット
機械研究会
湊 真司さん(工学部物理工学科3回生)
「ロボットをつくることは、自分のアイデアを形にすること。描いたイメージが形になり動きだす瞬間がきもちよい」。湊真司さんに案内された吉田寮新館の工作室には、ロボットの一部になると思わしき、アルミ板の切れ端や歯車などの部品が散らばる。
「自由の学風」をうたう京都大学にならい、機械研究会の活動方針は「自由であること」。1年をかけて大型ロボットをつくる部員がいれば、小さいロボットをいくつもつくる部員もいる。「ロボット好きが注目するNHK学生ロボコンには、あえて出場していません。優勝をめざせるロボットをつくるには、1年間の活動時間のほとんどをロボコンのために割くことになる。だれかと競うよりも、独創性やアイデアを形にすることをだいじにしたいんです」。
「優勝」のようなはっきりとした目標を設定しないなかで生みだされる、個性的なロボットたち。なかでも、11月祭で展示・稼働する全長1.5mの巨大UFOキャッチャーのインパクトには、通りすがりの人びとも思わず足を止める。吉田南総合館の吹き抜けを使用し、天井付近からつりさげられたクレーンが動く姿に、驚きをふくんだどよめきが起こる。「ロボット製作は自分たちが楽しむためではありますが、『これっておもしろいんじゃない?』というアイデアを多くの人と共有して、楽しめるともっとうれしい」。
湊さんの夢は、一般社会にロボットを普及させる手助けをすること。「一家に一台、ヒューマノイド・ロボットがいる時代を夢みています。いつかはそれを自分の手でデザインしたい」。
現在、社会に普及しているロボットの多くは工場の生産ロボットだが、近年、ロボホンやペッパーなど、私たちのくらしにとけこみ、人間とコミュニケーションのとれるロボットが登場。「彼らの登場で、街中にロボットがひろがる未来をもっと明確に想像できるようになりました。描く未来に近づいているという実感にワクワクしています」。礼儀正しい湊さんのまっすぐな目を見て、「ロボット大国」発展への期待が大きくふくらんだ。
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