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2016年春号

輝け!京大スピリット「有朋自遠方来」

「ラブリー」な京都で思い描く母国の未来

Winij RUAMPONGPATTANA(ルアムポンパッタナ ウィニジ)さん
工学研究科 博士後期課程3回生

京大への留学生は増加傾向にある。いろいろな街をまわったが、京都がいちばんのお気に入り。「京都に来たからには、勉強だけでなく京都ぐらしを楽しんでほしい」

博士論文の提出を間近に控えたウィニジさんは、ここ数日は、京大図書館にこもりきりだという。そんな疲れを悟らせない軽やかな笑顔で、彼は待ちあわせ場所に現れた。「ほほえみの国」タイから日本に留学して3年め、「日本語はまだ勉強中」とはにかむ。博論のあとに数本の論文を書き終えたら、彼はふるさとに帰る。

毎朝9時すぎのシャトルバスで吉田キャンパスから桂キャンパスの研究室に向かい、夕方6時半のバスで帰る。1日の大半を研究に費やすウィニジさんは、研究室以外の学生との交流はあまりないという。「でも、『京都国際学生の家』に住んでいるから平気。孤独を感じたことはありませんよ」。夕食後も自室で論文執筆に没頭することもあれば、寮の友人たちと卓球や日本語の勉強にいそしむこともある。

*京大吉田キャンパスから徒歩10分の「京都国際学生の家」は、「共同の生」と「出会い」を掲げた留学生と日本人学生むけの学生寮。運営は京都市などの援助で成りたっており、寮生は京大生にかぎらない。

研究の合間を縫って鴨川沿いをランニングするのが彼の楽しみ。「空気が澄んでいて、景色もきれい。家族でお弁当を拡げたり、犬の散歩やエクササイズをしたりと、京都の人がそれぞれの日常をゆったりとすごすようすを眺めて、私もリラックスできます」。

タイの首都バンコクで育った彼は、京都の街を「ラブリーだ」と表現する。「地下鉄などの現代的なインフラと、伝統的な建築物とが共存している。観光都市は、こうでなくては」。京都と同じく観光地として人気のバンコクでは、急速な都市開発にともない、王宮近くの古い町並みが失われつつあるそうだ。

ウィニジさんの専門は都市社会工学。都市システムを構想する工学の分野だが、関心は工学だけにとどまらない。「インフラ整備のための国家予算をどうつかうか。国家だけではなく企業にも投資して、国全体を活性化させなくてはいけない。それには社会や経済の状況にも目を配る必要がある」。タイはまだまだ発展途上。「だからこそ、ほかの国が歩んだ道も、歩まなかった道も、選んで進むことができる。日本で学んだ知識を母国の発展のために活かしたい」と力を込める彼の瞳には、やわらかくも頼もしい光が灯っていた。

寮では、季節ごとにさまざまなイベントが催される

研究室のメンバーとは旅行に行ったり、草野球を楽しんだり

寮のキッチンでは母国の料理をつくることも。ちなみに、好きな日本食は「迷わずラーメン!」

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