芸術活動にはげむ京大生の作品と、
研究者がのぞくアートな風景。
起点となる作品に感化され、
イメージの淵から生みだされた
作品をお愉しみください。
ぼくたちは
点として
てんでばらばらで
つながりばかり
もとめてみたり
作者:短歌会 中澤詩風さん 理学部3回生
世界には人が溢れていて、自分がいなくなったってなにも変わらない。でもそれが怖いから他人との関係を求めてしまう。線になれば、位置以上の意味をもてるかもしれないから。
提供者:柴田一成教授 理学研究科附属花山天文台
銀河は1千億の星の集団。銀河は頻繁に衝突をしながら大きくなってゆく。万有引力のために。人と人のあいだにも見えない「引力」があるのかも。人が集まって家族ができ、家族が集まって村ができ、村が集まって国ができた。
演奏者:ギタークラブ 金丸花実さん 文学部4回生
曲の前半では「ばらばら」な各声部が、後半では一つの和音にまとまり、「線」となります。音がつながりをもとめて、「見えない引力」によりしだいに大きくなり、一つの曲を完結させます。
みずうみのような眼で
ぼくを見て
ゆっくりと閉じられる
みずうみ
作者:短歌会 阿波野巧也さん 農学研究科修士課程1年
定型の中である瞬間の景色や気分を捉えようとすると、歌の中の時間が収束せずむしろ発散しようとすることがある。それを私たちは詩と呼ぶのかもしれない。
提供者:柴田一成教授 理学研究科付属花山天文台
じっと見ていると、猫の目が見えてくる不思議な星雲。惑星状星雲は、太陽の50億年後の姿と言われている。太陽が巨星となり、さらに巨星がガスを吹き出して、死にゆく姿がこの惑星状星雲。
演奏者:ギタークラブ 大庭健嗣さん 理学部3回生
サラバンドとは3拍子の舞曲の一つで、そのリズムからは荘重さを感じます。音の一つ一つがサラバンドのリズムに乗って、ときに重なりあいながら、波紋のように伝わります。
生活に
とれるボタンを
縫ううちに
遥かな丘の墓群を見る
提供者:柴田一成教授 理学研究科附属花山天文台
1054年に爆発した超新星の残骸
(星の墓場)。藤原定家の日記、明月記
に客星(突然現れた星)の記述がある。
およそ850年後に天文学者が
明月記の客星の記述に気づき、
それによって、かに星雲が超新星の
爆発の残骸であることが確立した。
明月記は世界の天文学の
発展に大きく貢献した。
短歌の神様、定家と天文学の驚くべき
出会いがあったのだ。
作者:短歌会 牛尾今日子さん 総合人間学部3回生
歌を読んだり、作ったりすることが何かとの出会いのようだと思うときがある。
短歌道場 in 古今伝授の里提出歌
きみの心
すずめのようだ
とつぜんに
始まるドラム
ロールも含めて
提供者:柴田一成教授 理学研究科附属花山天文台
動画で見ると、爆発が
頻繁に起こり、激しく
変化しているのがわかる。
太陽は決して静かではない。
「きみの心」のように。
作者:短歌会 濱田友郎さん 総合人間学部2回生
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