塩田 浩平(しおた こうへい) 財務・産官学連携担当
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メッセージ
平成20年10月1日付けで京都大学の理事・副学長に就任いたしました。私は理事として、財務と産官学連携を主に担当いたします。これらの任務は、国立大学法人としての京都大学がさらに大きく発展し、教育・研究に関する社会的使命を果たしていくために、きわめて重要なものです。
財務については、京都大学は年間約1400億円の資金によって運営されていますが、その約半分が国からの運営費交付金でまかなわれ、残りが授業料や附属病院収入などの自己収入、科学研究費補助金やその他の競争的資金、共同研究・受託研究などの外部資金によっています。しかし、法人化以降、運営費交付金には効率化係数がかかり年1%ずつ、附属病院収入は経営改善係数という形で年2%ずつ削減されてきました。これは大学の運営にとって大きな影響がある数字で、教育研究活動を直接圧迫しかねません。財務担当の立場からは、京都大学の財政基盤を安定させ、教育・研究・診療の質を向上させるため、学内予算の有効な配分、概算要求、競争的資金の獲得、資金運用、経費節減等、あらゆる手段を講じて一段の努力をして参ります。京都大学の学生、教員、職員がそれぞれの立場で気持ちよく学業、研究や職務に打ち込める良好な環境と体制を整えるよう、財務面からも一段の努力をしたいと考えています
京都大学では、それぞれの研究分野で活発な研究が行われ、ユニークですぐれた成果が数多く得られています。その中には、情報発信や技術移転をすることによって、大学で生み出された知的資産が社会で活用され、技術や産業の発展に貢献できるものも少なくありません。そのために、研究に打ち込んでおられる研究者に対して、その知的財産を様々な形で活用できるよう側面から支援する体制が必要です。本学では、「京都大学産官学連携ポリシー」を定め、社会におけるイノベーション創出と知的創造サイクルの活性化に貢献することを目指して産官学連携活動を行っています。産官学連携本部には「メディカル・バイオ(生命科学)分野」「理工農学分野」「ソフトウェア・コンテンツ分野」「iPS細胞研究知財支援特別分野」の4分野を置き、学内研究者の知的財産の権利確保と活用、産官学連携やベンチャー起業などを支援していますので、積極的にご活用いただきたいと思います。
私はこれまで、国立研究所と外国で過ごした数年間を除き、学生時代と卒業後の約40年間を京都大学でお世話になってきました。医学研究科において、解剖学・発生学領域の教育研究に従事してきましたが、理事・副学長の任期の2年間、この職務に微力を尽くすことで、少しでも京都大学に恩返しができればと願っています。
次代を担う有能で意欲ある学生を育て、「オンリーワン」のすぐれた研究が生まれる環境を整えるのが我々の任務であると思います。京都大学がさらに大きく発展するために、松本総長のリーダーシップのもと、他の理事や各部局の教員、多くの職員の皆さんと力を合わせて努力する所存です。どうかよろしくお願い申し上げます。