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京都大学メールマガジン Vol.12
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目次:
◆日本学術会議の勧告と地震予知 尾池和夫
◆大学院入試
◆トピックス
◆ニュースリリース
◆イベントのお知らせ
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◆日本学術会議の勧告と地震予知 尾池和夫
6月18日は京都大学の創立記念日で、この日は大学として休日にしてある。今年、110年の創立記念日であるこの日の直前、私の専門に深く関係する二つのことが重なってやってきた。一つは日本学術会議からのニュース・メールであり、もう一つは東京大学出版会から出た『地震予知の科学』という本である。
前者は「日本学術会議ホームページのリニューアルについて」と題して送られてきた「日本学術会議ニュース・メールNo.88」である。「6月12日(火)より日本学術会議のホームページをリニューアルしました」(http://www.scj.go.jp/index.html)とあって、主な変更点は、「メニュー機能等、トップページの改善」と「日本学術会議設立(昭和24年)以降、公表した報告等をすべて電子化して掲載」(http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/index.html)と「すべてのページにサイト内での現在位置を示す機能を追加」である。また、月刊誌「学術の動向」もWEB上で読むことができるとある。日本学術会議の活動について、ますます分かりやすく広報機能を充実させる方向が明示された。
後者は、日本地震学会地震予知検討委員会編の本で、「地震予知はどこまで可能か?」という帯があり、さらに、「この10年で大きく進展した地震予知研究の最前線をわかりやすく解説する。巷に氾濫する「地震予知不可能論」や「地震雲」への強力な反証」と帯にはある。この本を私に持ってきてくれたのは、京都大学大学院理学研究科での地震学の研究成果をもとに博士学位を得て、現在は海洋研究開発機構地球内部変動研究センターで研究している堀高峰くんである。彼は今、2002年に運用が開始されて2年半ほどの間は、世界最速の計算機と認められる座を保っていたスーパーコンピュータである「地球シミュレータ」を使いこなして、南海トラフに起こる巨大地震発生のシミュレーションを展開している。
日本学術会議のホームページを早速開いて、1949(昭和24)年1月22日の第1回総会における「日本学術会議の発足にあたって科学者としての決意表明」を読んだ。「これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し」という文章を繰り返し読んだ。そして、1950年1月23日の申入「湯川博士のノーベル賞受賞記念事業について」を読んだ。
さらに、かつて繰り返し読んだことのある、1963年11月7 日の勧告「地震予知研究の推進について」を読んだ。
また最近、霊長類研究所創立40周年を祝ったときに読んだ、1964年5月13日の勧告「霊長類研究所(仮称)の設定について」を読み、1964年11月17日の勧告「耐震工学研究の強化拡充について」と次ぎつぎに読み始めて、止められなくなってしまった。
私にとって一番大切な記録は、1995(平成7)年10月16日の「阪神・淡路大震災調査特別委員会第一次報告−強震観測網の充実と強震研究体制の整備について−」と「同−災害医療体制の整備について−」である。この強震観測網の充実と強震研究体制の整備についての原案を、阪神・淡路大震災調査特別委員会の委員として、私はかなり短期間に仕上げた。それは上に述べた1964年の勧告以来、さまざまの形で議論されてきた課題を、もう一度十分に議論して、今度こそ実現しなければという思いがあったからである。そして現在、日本列島には強震計をはじめとする多くの種類の地震計が密度高く配置されている。日本では今年から緊急地震速報が配信される時代を迎えるに至った。
阪神・淡路大震災調査特別委員会報告の全文は、1997年4月25日に出された。その中で、私は地震現象の観測体制を充実することの重要性と地震予知研究の重要性を強調した。また活断層に関する法の制定を訴えた。
『地震予知の科学』の方は、まだ少ししか読んでいないが、「地震予知は、地震災害大国たる日本において、最も社会的要求が高い学術分野の一つである。また、科学的見地からも、客観的観測事実から近未来の現象を予測する法則性を見出すという、いわば科学の本質の一つを扱う分野である」という書き出しからも、この本の立場が明確であり、国民の多くにぜひ読んでほしい本であることが、十分に伝わってくる。
地震予知の科学は、未知の現象が山のようにあって科学の進展を待つという、これから大きく発展する分野である。基礎科学の分野として興味深い現象を研究することもあるが、それらの研究成果を応用しつつ、実用的な地震の予報技術に仕上げていくという工学の要素を強く持っている分野である。その研究成果は確実に人類の福祉に貢献する。
もともと地球の内部は、まだ人類が直接見たことのない場所であり、「ちきゅう」という掘削船がようやく活動を始めたばかりである。そこには何があるのか、想像するだけでもわくわくする未知の世界がある。巨大地震は火山噴火とともに、そこに起こるもっとも地球らしい現象である。その現象の仕組みを明らかにすることも、その発生を予報する技術を開発することも、変動帯に住む日本の人びとの悲願であると言える。
地震予知という言葉にはさまざまの意味が重ねられているが、長期的な意味では、南海トラフの巨大地震が2030年ごろに発生するというような、すでに発表されている予測もあり、P波を検出して即座に配信する緊急地震速報のような、実用化段階を迎えた強震動の予報もある。これは今年の京都賞に決まった金森博雄博士の提唱した「リアルタイム地震学」にも深く関係する成果である。
地震予知という言葉に国民の多くが期待を抱くとき、その意味は、大地震発生の数日前の予報という意味の地震予知であろう。これはまだ実用化にはほど遠い段階の基礎研究の課題である。1995年兵庫県南部地震のような大地震が起こると、後の調査では、かならずざまざまの前兆現象があったことがわかっている。このことは、その地域にまもなく起こる地震が大規模な地震であるということを、大地は数日前に知っているということを意味している。このことが、その大地の情報を解読する技術を私たちが手にしたとき、大地震に限っては、やがて数日前の地震予報が可能になるということを、私が確信する根拠である。
このような科学と技術の研究の発展を実現するには、近畿のような活断層帯で、大規模地震が長く起こっていない地域に、べた一面に各種のセンサーを張り巡らしておいて大地震の発生を待つことしか他に有効な方法はない。これがなかなか実現しないばかりに、せっかく大地震が起こっても研究に必要なデータが得られていない。せっかくの機会を自然が与えてくれるということが明らかな国でありながら、大震災を経験するばかりで、実にもったいない限りである。
思い切ってセンサーを張り巡らせることを今実行すると、かならずそれは20年以内に人類に貢献する成果をもたらせることが確実である。どのようなセンサーをどのように配置するかを、しっかりデザインして、その効果を予測する仕事が、今の地震学と地震予知の科学に必要な準備の仕事であろうと、私は思っている。
そんな考えをもう一度まとめておいて、堀くんにもらった『地震予知の科学』をカバンに入れて、また東京へ向かう新幹線に乗って、この原稿を書いている。
◆大学院入試◆
○平成20年度 大学院経済学研究科修士課程学生募集について
京都大学大学院経済学研究科では、次のとおり入学試験を実施いたします。
願書受付 7月 27日(金曜日)〜8月2日(木曜日)
試験日 9月 4日(火曜日)・5日(水曜日)
※詳細については、経済学研究科ホームページ及び学生募集要項をご覧ください。
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~kyoumu/nyushi.htm
○平成20年度 京都大学公共政策大学院説明会
日時: 7月5日(木曜日) 13時00分〜
場所: 場所:法経第八教室(法経本館2階西)
問い合わせ先
京都大学法学研究科公共政策大学院掛
TEL 075-753-3126 FAX 075-753-3129
○平成20年度 大学院薬学研究科修士課程学生募集について
京都大学大学院薬学研究科では、次のとおり入学試験を実施いたします。
願書受付 7月24日(火曜日)〜7月26日(木曜日)
筆記試験 8月23日(木曜日)
口頭試問 8月24日(金曜日)
詳細については以下をご覧下さい。
・薬学研究科ホームページ
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/public/graduate.html
・平成20年度大学院薬学研究科修士課程学生募集要項(PDF:711KB)
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/common/docs/h20-mc.pdf
○平成20年度 大学院文学研究科修士課程(行動文化学専攻)夏期募集について
文学研究科修士課程行動文化学専攻のみ8月入試を、以下のとおり、実施いたします。
願書受付 7月 2日(月曜日)〜7月 5日(木曜日) 午後4時
1次試験 8月 1日(水曜日)
2次試験 8月 3日(金曜日)
上記のほかに、全専攻・専修の2月入試も実施いたします。
文学研究科ホームページ
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/index-j.html
◆トピックス◆
○京都市教育委員会との「連携協力に関する協定書」調印式を実施
このたび、京都大学は、京都市教育委員会と「連携に関する協定書」を締結しました。本協定は、京都大学と京都市立学校等との人的・知的交流を通じて、新たな学びの場を創造するとともに、教育上の課題等に適切に対応することにより、京都大学及び京都市における教育の充実・発展に資することを目的としています。本協定を契機として、教育の実践と理論との融合が期待されています。
写真
http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc070607_1/tpc070607_1.htm
○尾池総長がAPRU第11回年次学長会議に出席
尾池和夫総長は、5月28日〜30日に浙江大学(中国・杭州)で開催されたAPRU(環太平洋大学協会)第11回年次学長会議に松本紘理事・副学長、横山俊夫副学長・国際交流推進機構長、塚本政雄国際交流課長とともに出席しました。この会議には、APRU加盟大学から24大学の学長、6名のゲストほか関係者70余名が参加しました。
詳細へ
http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc070529_2/tpc070529_21.htm
写真
http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc070529_2/tpc070529_22.htm
○霊長類研究所創立40周年記念行事を開催
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706061443374101
○人文科学研究所附属現代中国研究センター設立記念公開講演会
「京都モデルの現代中国研究をめざして」を実施
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706040851223769
○日本語・日本文化研修留学生が京都市立日吉ヶ丘高等学校を訪問
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706131550594527
○助成金等採択結果
・文部科学省「平成19年度グローバルCOEプログラム」(6件)
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706201559263736
・文部科学省「平成19年度「社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発−ターゲットタンパク研究プログラム−」」(6件)
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706201607083978
・文部科学省「平成19年度X線自由電子レーザー利用推進研究課題」(1件)
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200705291715131091
・文部科学省・経済産業省「原子力人材育成プログラム」(3件)
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706041714452887
・NEDO技術開発機構「革新的ノンフロン系断熱材技術開発プロジェクト」(1件)
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200706151310559537
◆ニュースリリース◆
○マウス体細胞から第2世代人工万能幹細胞の開発に成功
JSTと京都大学は、マウス体細胞からES細胞と遜色のない能力をもった第2世代の人工万能幹細胞(iPS細胞)の開発に成功しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070522_11.htm
○SiCエピタキシャル膜成長装置による量産技術確立に目処!
〜複数枚のSiCウエハの一括処理を実現〜
京都大学、東京エレクトロン株式会社およびローム株式会社は、従来から3者共同にて実施してきたSiC(シリコンカーバイド:炭化珪素)パワーデバイスの研究開発において、将来の実用化に向けて大きく踏み出す、「量産型SiCエピタキシャル膜成長試作装置」によるSiCウエハの複数枚一括処理技術を国内で初めて確立いたしました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070611_1.htm
○哺乳類のカルシウム調節の仕組みを解明
(上皮小体疾患や骨粗鬆症、くる病などの診断・治療法の開発にはずみ)
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070612_11.htm
◆イベントのお知らせ◆
○企画展 総合博物館創設十周年記念 京大の至宝−蘇る宝たち−
京都大学は、教育・研究のために保管品の保存修復処理に力を注いで参りました。中でも、文化財保護法に基づき国宝・重要文化財に指定された文化史系の史・資料の劣化対策は急を告げるものでした。
この度は、総合博物館創設十周年を記念して、すでに保存修復処理を施した「京都大学の宝」ともいうべき品々の多くをご覧いただきます。
今後も皆様のご理解のもとに、史・資料、試料等保管品の維持、活用に意を図って参ります。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070707_1.htm
○学術情報メディアセンターセミナー
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070626_1.htm
○第14回 こころの未来セミナー 『瞬間と芸術』
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070626_2.htm
○京都大学未来フォーラム(第29回)
文化と文化財 ―文化を支える文化財の機能について―
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070629_1.htm
○「京大の至宝−蘇る宝たち−」 展示解説
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070704_1.htm
○京都大学国際交流センター 第7回 多文化交流フォーラム
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070704_2.htm
○京都大学エネルギー理工学研究所・福島工業高等専門学校
第一回連携講演会
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070713_1.htm
○人文研アカデミー
夏期公開講座『名作再読』(2)−いま読んだらこんなに面白い−
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070714_1.htm
○京都大学フィールド科学教育研究センター 公開講座 2007
「森のしくみとその役割」
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070728_2.htm
○京都大学再生医科学研究所第2回公開講演会
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070728_1.htm
○数学入門公開講座
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070802_1.htm
>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm
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★このメールは送信専用メールアドレスから配信されています。
このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
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のフォームから配信停止をおこなってください。
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