木村亮 医学研究科助教、萩原正敏 同教授らの研究グループは、エピゲノムの異常がウィリアムズ症候群の病態に関わることを発見しました。
ウィリアムズ症候群は、約1万人に1人にみられる稀な病気で、7番染色体の片方の一部分がなくなり、妖精のような顔つき、陽気で高い社交性、心血管の異常や知的発達の遅れなど様々な症状がみられます。しかし、そのような症状の程度は一様ではなく、原因はわかっていませんでした。本研究グループは、DNAの塩基配列に加えられた修飾(エピゲノム)のうち、メチル化状態に着目し、患者と健常者の検体を使って網羅的に調べました。その結果、 DNAメチル化の程度が両群で大きく異なる遺伝子を多数見出すことができました。とくに神経発生や発達に関わる遺伝子のメチル化の程度が、疾患群では高くなっており、その働きが抑えられていることが示唆されました。
本研究成果は、ウィリアムズ症候群にみられる多彩な症状の原因を説明する重要な手がかりを与える知見であり、今後さらなる病態の解明につながることが期待されます。
本研究成果は、2020年4月18日に、国際学術誌「Neuropsychopharmacology」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41386-020-0675-2
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/250506
Ryo Kimura, Roy Lardenoije, Kiyotaka Tomiwa, Yasuko Funabiki, Masatoshi Nakata, Shiho Suzuki, Tomonari Awaya, Takeo Kato, Shin Okazaki, Toshiya Murai, Toshio Heike, Bart P. F. Rutten & Masatoshi Hagiwara (2020). Integrated DNA methylation analysis reveals a potential role for ANKRD30B in Williams syndrome. Neuropsychopharmacology, 45(10), 1627-1636.