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上田翔士 総合生存学館 研究員(現・神戸大学学術研究員)、佐々木貴教 理学研究科 助教、石澤祐弥 同博士課程学生、 井田茂 東京工業大学教授は、 天王星の衛星の起源を理論的に研究し、新たな衛星形成モデルを作成することに成功しました。
本研究グループは、天王星への巨大衝突で大蒸発がおこって水蒸気円盤が形成され、その円盤が衛星の材料になる氷が再凝縮するまで冷却される過程を精密に調べることで、現在の天王星の衛星が見事に再現される理論モデルを構築しました。これは、これまで議論されてきた地球型惑星や木星型惑星の衛星形成とは全く異なり、天王星のような氷惑星に対する新しい理論モデルです。
巨大衝突を考えると天王星の衛星の傾いた軌道は説明可能ですが、これらが天王星から遠くまで分布し、総質量が天王星の1万分の1しかなく、大きい衛星が外側に偏っていることは、今までは全く説明できず、天王星衛星の起源は大きな謎とされていました。
本研究成果は、2020年3月30日に、国際学術誌「Nature Astronomy」に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41550-020-1049-8
Shigeru Ida, Shoji Ueta, Takanori Sasaki & Yuya Ishizawa (2020). Uranian satellite formation by evolution of a water vapour disk generated by a giant impact. Nature Astronomy, 4(9), 880-885.