認知症に対する点鼻ワクチンの開発 -遺伝子治療による免疫療法と分子イメージング-

ターゲット
公開日

井上治久 iPS細胞研究所 教授、竹内啓喜 同研究員(現・国立病院機構南京都病院医長)、今村恵子 同特定拠点講師らの研究グループは、樋口真人 量子科学技術研究開発機構 部長らの研究グループと共同で、タウオパチーを呈する認知症の鍵分子であるタウ蛋白に対する点鼻ワクチンを、遺伝子治療用のセンダイウイルスベクターを用いて作製しました。遺伝子治療用のセンダイウイルスベクターを用いて作製しました。

そして、分子イメージング技術を用いて、タウオパチーモデルマウスにおける治療効果を検討しました。その結果、タウ 蛋白 に対する点鼻ワクチンにより、タウオパチーモデルマウスは、脳内の抗タウ抗体価の上昇、タウ蛋白蓄積の減少、グリア炎症の改善、脳萎縮の改善、認知機能の改善を示しました。

本研究は、アルツハイマー病を始めとする認知症を制圧するためのワクチン開発に寄与するものと考えられます。

本研究成果は、2020年3月25日に、国際学術誌「NPJ Vaccines」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41541-020-0172-y

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/246426

Hiroki Takeuchi, Keiko Imamura, Bin Ji, Kayoko Tsukita, Takako Enami, Keizo Takao, Tsuyoshi Miyakawa, Masato Hasegawa, Naruhiko Sahara, Nobuhisa Iwata, Makoto Inoue, Hideo Hara, Takeshi Tabira, Maiko Ono, John Q. Trojanowski, Virginia M.-Y. Lee, Ryosuke Takahashi, Tetsuya Suhara, Makoto Higuchi & Haruhisa Inoue (2020). Nasal vaccine delivery attenuates brain pathology and cognitive impairment in tauopathy model mice. npj Vaccines, 5:28.

  • 朝日新聞(3月26日 27面)、京都新聞( 3月26日 31面)、産経新聞(3月26日 26面)、日刊工業新聞(3月26日 25面)、日本経済新聞(3月26日 38面)および毎日新聞(3月30日 23面)に掲載されました。