ダイズ根圏に殺虫活性物質オカラミンを発見 -土の中の遺産「根圏ケミカル」をメタボローム解析で明らかに-

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杉山暁史 生存圏研究所 准教授、中安大 同特任助教、櫻井望 かずさDNA研究所チーム長(現・国立遺伝学研究所特任准教授)、藤井義晴 東京農工大学 教授、Hossein Mardani Korrani 同研究員、松田一彦 近畿大学 教授らの研究グループは、微量なサンプルを用いて網羅的に代謝物(根圏ケミカル)を解析できるメタボローム解析を行った結果、マメ科植物のヘアリーベッチ栽培後の土壌に、ペニシリウム属のカビ( Penicillium simplicissimum )をオカラ上で培養したときに得られるオカラミンという殺虫活性物質の一群を見出しました。

自然界でオカラミン類が発見されたのはこれが初めてです。さらに、ヘアリーベッチとダイズを11年間輪作で育てている圃場においても、ダイズ根圏でオカラミンが殺虫活性を有する濃度で検出されました。これは、ヘアリーベッチが土壌に残したオカラミンやオカラミン生合成微生物が、「遺産」としてダイズに受け渡され、ダイズの生育に有利な環境を作っている可能性が考えられます。今後、オカラミンをダイズなどの作物生産へ活用することが期待されます。

本研究成果は、2020年2月24日に、国際学術誌「Frontiers in Genetics」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.3389/fgene.2020.00114

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245865

Nozomu Sakurai, Hossein Mardani-Korrani, Masaru Nakayasu, Kazuhiko Matsuda, Kumiko Ochiai, Masaru Kobayashi, Yusuke Tahara, Takeshi Onodera, Yuichi Aoki, Takashi Motobayashi, Masakazu Komatsuzaki, Makoto Ihara, Daisuke Shibata, Yoshiharu Fujii and Akifumi Sugiyama (2020). Metabolome Analysis Identified Okaramines in the Soybean Rhizosphere as a Legacy of Hairy Vetch. Frontiers in Genetics, 11:114.

  • 日本農業新聞(3月10日 13面)に掲載されました。