音刺激がチンパンジーのリズミカルな身体運動を誘発することを発見 -類人猿にも共有されている音楽の基盤-

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服部裕子 霊長類研究所 助教、友永雅己 同教授は、音刺激がチンパンジーのリズミカルな身体運動を誘発することを発見しました。

ダンスや合唱など、音楽は世界中の文化で取り入れられており、ヒトに普遍的な活動だと言われています。乗りのよい音楽を聴くと、私たちは思わず体を動かしたくなりますが、これは音楽が私たちの身体運動にも強く働きかけるからだということがわかっています。

本研究では、チンパンジーを対象に、リズム音を用いてプレイバック実験を行い、音刺激がリズミカルな身体運動を誘発するのか調べました。その結果、チンパンジーもヒトと同様に全身の揺れ(swaying)や頭の振り(head bobbing)といったリズミカルな運動が誘発されることがわかりました。また、オスの方がメスよりも大きな反応が見られたことから、雌雄差があることも確認されました。さらに、音刺激が提示されると音源へより接近するなど刺激に対する選好もみられました。

これらの結果から、ヒトの音楽活動をささえる基盤は、類人猿にもある程度共有されており、進化的に深く根ざしたものであることが示唆されます。

本研究成果は、2019年12月24日に、国際学術誌「PNAS (米国科学アカデミー紀要) 」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究のイメージ図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1073/pnas.1910318116

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245227

Yuko Hattori and Masaki Tomonaga (2020). Rhythmic swaying induced by sound in chimpanzees (Pan troglodytes). Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(2), 936-942.

  • 中日新聞(12月24日夕刊 8面)に掲載されました。