陳和夫 医学研究科特定教授、村瀬公彦 同特定助教らの研究グループは、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続気道陽圧)療法中のOSA(Obstructive Sleep Apnea:閉塞性睡眠時無呼吸)患者に対する遠隔モニタリングシステムの有用性を実証しました。
本研究グループは、(1)病院での診察期間を3か月とし、遠隔モニタリングでCPAP療法の使用記録を毎月確認し、使用状況の悪化があれば電話で遠隔指導を行うグループ (遠隔モニタリング群) 、(2)診察期間を3か月に延長するだけのグループ(3か月群)および(3)診察期間を毎月とするグループ(毎月群)の3群に無作為に割り付けし、半年間経過を観察しました。その結果、遠隔モニタリング群と毎月群の方法は患者の治療アドヒアランス(機器の適切な使用時間および使用日数)を維持するうえで変わらないことを実証しました。一方、3か月群の毎月群に対する非劣性を示すことはできませんでした。また、遠隔モニタリング群の患者で、実際に電話指導が行われたのは約30%しかいませんでした。
適正な運用方法と診療報酬のもとではアドヒアランスが悪化することなくCPAP療法継続は可能であり、患者の利便性と医師の働き方改革の面からもCPAP療法の遠隔医療モニタリングシステムの普及が望まれます。
本研究成果は、2019年11月5日に、国際学術誌「Annals of the American Thoracic Society」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.201907-494OC
Kimihiko Murase, Kiminobu Tanizawa, Takuma Minami, Takeshi Matsumoto ; Ryo Tachikawa ; Naomi Takahashi, Toru Tsuda, Yoshiro Toyama, Motoharu Ohi, Toshiki Akahoshi, Yasuhiro Tomita, Koji Narui, Hiroshi Nakamura, Tetsuro Ohdaira, Hiroyuki Yoshimine, Tomomasa Tsuboi, Yoshihiro Yamashiro, Shinichi Ando, Takatoshi Kasai, Hideo Kita, Koichiro Tatsumi, Naoto Burioka, Keisuke Tomii, Yasuhiro Kondoh, Hirofumi Takeyama, Tomohiro Handa, Satoshi Hamada, Toru Oga, Takeo Nakayama, Tetsuo Sakamaki, Satoshi Morita, Tomohiro Kuroda, Toyohiro Hirai and Kazuo Chin (2020). A Randomized Controlled Trial of Telemedicine for Long-Term Sleep Apnea CPAP Management. Annals of the American Thoracic Society, 17(3), 329-337.