生体内で正常細胞が不良細胞を除去する仕組みを解明 -がん細胞除去やアンチエイジングの新たな戦略-

ターゲット
公開日

永田理奈 生命科学研究科 博士課程学生、井垣達吏 同教授らの研究グループは、ショウジョウバエを用いて不良細胞が正常細胞によって除去されるメカニズムを探索した結果、正常細胞は近接する不良細胞にオートファジーを誘導して殺すことを発見しました。

具体的には、不良細胞は正常細胞に近接するとオートファジーとJNK(ストレスを感知する酵素)の両方の活性を高め、これによって細胞死を引き起こすことがわかりました。

今回発見した一連の分子群は哺乳類にも存在します。したがって、このオートファジーを介した細胞除去のメカニズムの活性を人為的に高めることで、生体内の不良細胞を選択的に除去してアンチエイジングに貢献したり、生体内に生まれたがん細胞を排除したりすることができるようになることが期待されます。

本研究成果は、2019年9月20日に、国際学術誌「Developmental Cell」に掲載されました。

図:本研究で明らかにした正常細胞が不良細胞を除去する仕組み

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.devcel.2019.08.018

Rina Nagata, Mai Nakamura, Yuya Sanaki, Tatsushi Igaki (2019). Cell Competition Is Driven by Autophagy. Developmental Cell, 51(1), 99-112.e4.

  • 朝日新聞(11月7日 21面)および日刊工業新聞(9月20日 33面)に掲載されました。