森信人 防災研究所教授、志村智也 同特定助教、Adrean Webb 同特定研究員、Kamranzad Bahareh 白眉センター特定助教らの研究グループは、世界21機関の研究グループ(米国:USGS、オーストラリア:CSIRO、カナダ:環境・気候変動省、英国:国立海洋センター他)と共同で、世界の海岸線の約50%が、21世紀末に波浪特性変化のリスクにさらされていることを明らかにしました。
現在のままの経済活動を継続する将来の気候シナリオでは、平均的な波高がプラスマイナス10%の幅で増加もしくは減少することがわかりました。特に日本周辺は将来変化が大きく、平均的な波高が10%、周期が5%前後減少することが予測されました。
気候変動の影響の中で、日本の沿岸域における自然災害への影響として重要なのは、海面上昇に加えて高潮および波浪の変化予測です。波浪の将来変化については、海岸の防波堤の設計、砂浜やサンゴなどの生態系に影響を与えますが、温暖化の影響を考慮した定量的な将来予測はこれまでできていませんでした。
本研究成果は、地球温暖化に伴う日本の沿岸域の脆弱性の将来変化や適応策、特に砂浜の変化や海洋生態系への研究展開が期待されます。
本研究成果は、2019年8月20日に、国際学術誌「Nature Climate Change」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41558-019-0542-5
Joao Morim, Mark Hemer, Xiaolan L. Wang, Nick Cartwright, Claire Trenham, Alvaro Semedo, Ian Young, Lucy Bricheno, Paula Camus, Mercè Casas-Prat, Li Erikson, Lorenzo Mentaschi, Nobuhito Mori, Tomoya Shimura, Ben Timmermans, Ole Aarnes, Øyvind Breivik, Arno Behrens, Mikhail Dobrynin, Melisa Menendez, Joanna Staneva, Michael Wehner, Judith Wolf, Bahareh Kamranzad, Adrean Webb, Justin Stopa & Fernando Andutta (2019). Robustness and uncertainties in global multivariate wind-wave climate projections. Nature Climate Change, 9(9), 711-718.
- 毎日新聞(8月31日 4面)に掲載されました。