鋭敏な視覚と優れた深視力をもった手術用4K-3Dビデオ顕微鏡の開発 -安心・安全な新しい手術スタイルの提唱-

ターゲット
公開日

八木真太郎 医学研究科 講師、上本伸二 同教授、小林英司 慶應義塾大学教授らの研究グループは、三鷹光器株式会社、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社と共同で、「手術用の高精細(4K)3Dビデオ蛍光顕微鏡」を開発しました。

従来の顕微鏡を使った手術では、レンズを長時間にわたって覗かなければならず、首や腕のしびれの原因となっていました。また、助手が術者と同じ視野を共有できず、技術伝承の妨げにもなっていました。

今回開発した装置は高性能レンズを搭載し、手術部位を遠方からのズームにより双眼3Dの4Kモニター上に映し出す仕様です。従来の顕微鏡では高倍率時の焦点深度が浅くなりピントが合いにくいという問題がありましたが、本装置はこの現象を防ぐことのできる優れた深視力をもっています。また、術者と助手が同一モニターを見ながら楽な姿勢で手術ができ、倍率を速やかに調整できるといった鋭敏な視覚をもち、様々な領域の手術に対応可能であることに加え、教育にも有用です。

さらに血液の流れや腫瘍(がん)を蛍光画像としてリアルタイムにモニターに重ねて表示することもできるため、腫瘍の位置や手術の出来具合を確認しながら、より安全に手術を行うことが可能です。

本装置は、2019年3月29日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に可搬型手術顕微鏡として届出と登録が行われ、7月25日、26日の日本肝移植学会で一般に公開されます。

図:本装置による人工血管縫合のデモンストレーションの様子

詳しい研究内容について

書誌情報

  • 朝日新聞(7月23日 35面)、京都新聞(7月23日 34面)および読売新聞(10月4日 17面)に掲載されました。