インターフェロンの抗白血病作用の分子メカニズムを解明-白血病幹細胞を標的として-

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横田明日美 医学研究科 研究員(現・シンシナティ小児病院医療センター研究員)、平位秀世 医学部附属病院 助教と前川平 同教授(現・京都府保健環境研究所所長)らの研究グループは、従来から一部の白血病治療に用いられてきたインターフェロンの作用の分子メカニズムの一端を解明しました。

インターフェロンはウイルス感染時などに細胞から放出される液性のタンパク質で、抗ウイルス作用のほか、様々な生理活性を持つことが知られています。これまでにインターフェロンは慢性骨髄性白血病などの白血病治療に用いられて一定の効果を示しているにもかかわらず、その分子メカニズムについては十分に解明されていませんでした。

今回、本研究グループは、慢性骨髄性白血病の実験動物モデル及び患者から提供を受けた白血病細胞を用いて検討し、インターフェロンが白血病の原因遺伝子と協調して働き、白血病幹細胞の枯渇を誘導することがわかりました。白血病幹細胞は、白血病の治療抵抗性や再発の原因となると考えられており、本研究成果は一部の白血病においてインターフェロンを工夫して投与することによって治療成績がさらに改善する可能性を示唆するものです。

本研究成果は、2019年2月12日に、国際学術誌「Blood Advances」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2018020503

Asumi Yokota, Hideyo Hirai, Ryuichi Sato, Hiroko Adachi, Fumiko Sato, Yoshihiro Hayashi, Atsushi Sato, Naoka Kamio, Yasuo Miura, Masakazu Nakano, Daniel G. Tenen, Shinya Kimura, Kei Tashiro and Taira Maekawa (2019). C/EBPβ is a critical mediator of IFN-α–induced exhaustion of chronic myeloid leukemia stem cells. Blood Advances, 3(3), 476-488.

  • 京都新聞(5月30日夕刊 8面)に掲載されました。