iPS細胞を用いて遺伝性間質性肺炎の病態解析に成功 -間質性肺炎の原因究明の足がかりに-

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平井豊博 医学研究科教授、興梠陽平 医学部附属病院 医員、後藤慎平 医学研究科特定准教授らの研究グループは、iPS細胞研究所などと共同で、遺伝性間質性肺炎を示すヘルマンスキー・パドラック症候群2型患者由来のiPS細胞から作成した肺胞上皮細胞の解析を行い、肺サーファクタントの貯留・分泌を担う「ラメラ体」と呼ばれる構造に異常があることを明らかにしました。

間質性肺炎は呼吸不全が徐々に進行する難病です。肺の細胞培養は技術的に難しく、これまで患者細胞を使った呼吸器疾患研究は困難な状況でした。

本研究では、ラメラ体から分泌される肺サーファクタントは、肺が正常に機能するために非常に重要な役割を担っており、この異常が本疾患患者での間質性肺炎の発症に影響している可能性が示唆されました。ラメラ体の異常や肺サーファクタントの分泌低下は他の間質性肺炎でも発症や進行に関与している可能性が過去に報告されており、iPS細胞を用いた間質性肺炎の研究の今後が期待されます。

本研究成果は、2019年2月15日に国際学術誌「Stem Cell Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概略図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.stemcr.2019.01.014

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236487

Yohei Korogi, Shimpei Gotoh, Satoshi Ikeo, Yuki Yamamoto, Naoyuki Sone, Koji Tamai, Satoshi Konishi, Tadao Nagasaki, Hisako Matsumoto, Isao Ito, Toyofumi F. Chen-Yoshikawa, Hiroshi Date, Masatoshi Hagiwara, Isao Asaka, Akitsu Hotta, Michiaki Mishima, Toyohiro Hirai (2019). In Vitro Disease Modeling of Hermansky-Pudlak Syndrome Type 2 Using Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Alveolar Organoids. Stem Cell Reports, 12(3), 431-440.