門脇浩明 学際融合教育研究推進センター特定助教(兼・フィールド科学教育研究センター連携助教)、山本哲史 理学研究科助教、東樹宏和 生態学研究センター准教授らの研究グループは、大規模野外操作実験によって、地下の菌類のネットワークが生み出す土壌環境の変化が森林を形作る重要な要因であることを明らかにしました。
土壌微生物の一大グループである菌根菌は、植物の根に住みつき、菌根共生と呼ばれる植物との栄養のやりとりをしていることが知られていたものの、実際に、菌根菌のはたらきが森林動態とどのように関連しているのかは分かっていませんでした。本研究によって、菌根菌がつくりだす地下のネットワークやそれが引き起こす環境変化によって異なる樹木の種類が共存できたり、特定の樹種が優占するようになったりすることが分かりました。
本研究成果によって、なぜ森林では多様な種の樹木が共存できるのか、また、なぜ植生が時間とともに必ず一定の樹種に置き換わるのかという生態学の古くから続く二つの問題は、地下に生息する菌根菌のはたらきというメカニズムによって説明できることが示されました。
本研究成果は、2018年11月20日に、英国の科学誌「Communications Biology」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s42003-018-0201-9
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/235239
Kohmei Kadowaki, Satoshi Yamamoto, Hirotoshi Sato, Akifumi S. Tanabe, Amane Hidaka & Hirokazu Toju (2018). Mycorrhizal fungi mediate the direction and strength of plant–soil feedbacks differently between arbuscular mycorrhizal and ectomycorrhizal communities. Communications Biology, 1:196.
- 京都新聞(12月3日夕刊 8面)に掲載されました。