シジュウカラの音声言語、単語から指示対象をイメージする能力を確認

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公開日

鈴木俊貴 生態学研究センター研究員は、野鳥の一種であるシジュウカラの研究を通して、単語からその指示対象をイメージする能力を、ヒト以外の動物において初めて明らかにしました。

本研究成果は、2018年1月30日に米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

鈴木研究員

従来、動物の音声コミュニケーションは、話し手が聞き手の行動を機械的に操作する単純なものであると考えられてきました。本研究は、この枠組みを覆しうる大きな成果です。「リンゴ」と聞くと赤いリンゴを頭に思い描くように、シジュウカラも「ヘビ」を示す鳴き声からヘビをイメージできるのです。私たちが会話の中で用いる様々な認知能力は、実は他の動物にも広く進化しているのかもしれません。

概要

シジュウカラは天敵のヘビをみつけると、「ジャージャー」と聞こえる特別な鳴き声を発し、仲間に警戒を促します。この鳴き声は、ヘビに遭遇した時以外に発せられることがないので、「ヘビ」を示す単語(名詞)であるかもしれません。もしそうであれば、ヒトの言語と同様に、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビのイメージを想起させる可能性があります。

そこで本研究では、このヘビ特異的な鳴き声が、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビに関する視覚イメージを想起させるかどうか実験的に検証しました。その結果、シジュウカラはこの声を聞いた時にだけ、ヘビのように木の幹や地面を這わせた小枝に接近し、それを確認することが分かりました。これはヘビ特異的な鳴き声からヘビの探索イメージを想起し、ヘビのように動く枝に当てはめた結果と考えられます。

図:ヘビ特異的な鳴き声を聞くと、木の幹(左)や地面(右)を這う枝をヘビだと勘違いして接近する

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1073/pnas.1718884115

Toshitaka N. Suzuki (2018). Alarm calls evoke a visual search image of a predator in birds. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 115(7), 1541-1545.

  • 朝日新聞(1月30日 30面)、京都新聞(1月30日 27面)、産経新聞(1月30日 30面)、日本経済新聞(1月30日夕刊 10面)、毎日新聞(2月1日 24面)、読売新聞(1月31日 29面)に掲載およびNHK(1月30日)で放送されました。