原田博司 情報学研究科教授らの研究グループは、株式会社ACCESSと共同で「モノ」のインターネット(Internet of Things、以下IoT)向け国際無線標準規格Wi-SUNを利用した有無線統合ネットワーク仮想化システムを世界初で開発しました。
研究者からのコメント
現在、電気、ガス、水道スマートメーターサービスを統合する動きや、農業、医療等のセンサーサービスを統合する動きがあります。しかし、これま では新規開発されるサービスごとに IoTネットワークを構築するため、設備投資が増大していました。また、ネットワークのセキュリティモデルが異なるため、それぞれのIoT設計が複雑化 し、困難となっていました。今回のシステム開発により、同一回線を利用して仮想的に相乗りをすることができるため、これらのコスト、タスクが大き く削減されることを期待しています。
概要
現在、あらゆるモノが有無線を駆使し相互通信することによりインターネットに繋がり、自動制御・検針等の従来にないサービスが可能になるIoTに関する、研究・開発・導入が進められつつありますが、次のような課題がありました。
- 多様化し、次々と新規開発される各種サービス用通信システムに迅速に対応できない。
- サービスごとに IoTネットワークを構築するため、回線の工事や敷設等の設備投資が増大
- IoTデバイスの種類やサービスの多様化に伴うIoTネットワークの設定、変更等の管理が複雑化、エンドユーザサポートの増加による運用コストが増大
- 各 IoTネットワークのセキュリティモデルが異なるため、複雑さが増し、IoTセキュリティ設計が困難
この解決策として有線ネットワークでは、ネットワーク仮想化技術もしくはソフトウェア定義型ネットワークSDN(Software Defined Network)が検討されています。しかし、Wi-SUNに代表されるIoT用の世界標準無線通信と有線通信の統合システムに対応したネットワーク仮想化技術はありませんでした。
そこで、本研究グループは、これらの解決策として、Wi-SUN機能を用いた無線、有線を統合した共通のIoTネットワーク基盤の上でネットワーク仮想化技術を用いて複数の利用者がそれぞれ独立にセキュリティを保ちつつ情報収集、機器の制御管理を行うIoT向け有無線統合ネットワーク仮想化SDNシステムの開発を行いました。
本開発により電気・ガス、通信などインフラを有する事業者は、自社の同一インフラ上に、高いセキュリティ・運用性を担保しつつ、他の複数の IoTサービスを柔軟に追加で収容することが期待でき、設備投資、運用コストの大幅な低減が期待できます。さらに今後、今回開発したシステムの大規模実証、標準化を行うことを検討しています。
詳しい研究内容について
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IoT向け国際無線標準規格Wi-SUNを用いた有無線統合ネットワーク仮想化システムを開発-多種多様な無線センサー・メーターをネットワーク仮想化技術により安全に個別分離ー
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日刊工業新聞(4月13日 27面)に掲載されました。