熊谷誠慈 人と社会の未来研究院准教授と古屋俊和 株式会社テラバースCEOは、生成系AI「ChatGPT4」を応用した新型チャットボット「ブッダボットプラス」を共同開発しました。「ブッダボット」は、仏教経典を学習し、様々な悩みに対して宗教的観点から回答する対話型AIで、両開発者が2021年3月に公表しました。ただ、このブッダボットはGoogle社提供のアルゴリズム「Sentence BERT」を応用したものであり、(文章の生成は行わず)仏教経典の文言そのままの形で回答するものでした。ソースについては信頼性があるものの、ユーザーの聞きたい内容について、わかりやすい言葉で回答することはできませんでした。今回、ChatGPT4を応用したブッダボットプラスは、質問への回答として、仏教経典の文言をそのまま提示したうえで、ユーザーの質問内容に即した解釈・追加説明を併せて生成して提示することが可能となりました。
現在、ChatGPTには、回答の情報の典拠が不明であったり、個人情報の流出、著作権の侵害など情報の信頼性にかかわる問題が山積しており、イタリアがChatGPTの使用を一時禁止したり、産業界から開発延期の提言がなされたりするなど、危険性についても指摘されています。他方、旧式のブッダボットは、学習データの作成速度が遅いというデメリットがあるものの、上記のようなChatGPTの抱える問題点はありません。今後は、両者を併用することで、利点と欠点を相互に補完していく予定です。
「ブッダボットプラス共同開発者の熊谷は、宗教や哲学などの古代の叡智が、現代においても人々や社会の役に立つものと信じ、様々な学際・応用研究を進めてきました。その1つが、伝統知とテクノロジーを融合した『伝統知テック』開発です。最新のテクノロジーをキャッチアップしながら、世のため人の為に貢献できるインパクトあるプロダクトの開発を進めて参りたいです。」(熊谷誠慈)
日刊工業新聞(7月20日 29面)および京都新聞(7月26日夕刊 1面)に掲載されました。