広報B:「Yさん、京大って、世界に誇るすばらしい研究成果が日々生まれますよね。でも、どんなにスゴイ研究でも、世の中のたくさんの人に知られていないことってありますよね。それはホントにもったいないことです。」
広報Y:「それは、ボクの隠れた魅力がなかなかBさんに伝わらないことに似ていますね。」
広報B:「いえ、おっしゃる意味が全然理解できないですけど・・・。
言いたいのはそういうことではなくて!
京大には、そんなスゴイ研究成果をさらにスゴイものに輝かせて、世の中に飛び立たせるスゴ腕集団「URA」がいるんです!」
・・・ということで今回は、京大が誇る研究推進のプロフェッショナル集団、「京都大学のURAの実は!」に迫ります。
京大の研究を広く世界へと飛び立たせる「URA」のお仕事とは?ヒトとは?・・・ぜひお楽しみください!
URA=ゆーあーるえーって、なに!?
京都大学学術研究支援室(KURA)は、「リサーチ・アドミニストレーション」という日本ではまだあまり耳慣れない活動を行う組織として京都大学に設置されました。研究推進体制の強化を目標に、教員が研究教育に専念できる環境を整備し、その研究活動の支援体制を整えるためのさまざまな改革に取り組んでいます。
その活動を担うのが、ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター、略して「URA」。
おとぼけ広報YさんにもわかりやすくURAの魅力を伝えるため、広報B、突撃取材にいきました!
KURAの広報番長に聞きました! 「京大のURA」って、なにする人々?
お話をお聞きしたのは、KURAの広報番長こと、白井哲哉さん(学際融合部門長)。ご自身も、生命科学から人文科学の分野を渡り歩いた研究者出身。「好きな研究を続けることよりも、好きな研究ができる環境を作ることに興味を持った」ことから、URAの道へ。企画から広報まで、さまざまな活動に携わる白井URAに、URAについてアレコレ聞きました!
Q:まずはキホンから。 「URA」って、何ですか?
文部科学省の定義はあれど、そのカタチは大学によってさまざま。
― まず、文部科学省の定義によると・・・『URAは、大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行うことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材を指します。(文部科学省より)』とされています。
・・・とはいえ、実際のところは、大学によってURAの役割や配置のされ方など、在り方はさまざまなんですよ。大学によって特徴もURAの規模も違いますから。
研究者が、研究をし、それを世の中へ発信していくためには、実はたくさんの「やらねばならないこと」があります。研究費獲得のための申請書作成、研究プロジェクトの運営、広報活動・・・など。研究の合間にそれらを手がけるのは、本当に大変。それに労力と時間を取られて、本来の研究に専念出来ないといった現実があります。
そこで立ち上がったのが、研究者を支援するためのプロフェッショナル集団「URA」なのです!
Q:では、「京大のURA」の特徴ってどんなところ?
URAの数は、日本の大学では京大がダントツ。その豊富で多彩なマンパワーを、充実した支援につなげます!
― 実は! KURAの明確なビジョンについては、まさに今改訂を検討していて、近々公表される予定です。
(現在のビジョンについてはこちら http://www.kura.kyoto-u.ac.jp/about/outline.php )
その背景には、京大のURAの人員が急速に増えていることがあります。京大には、現在48人(※9月25日現在)のURAがいるのですが、この数は日本の大学ではダントツ。それだけ充実した支援ができるということ。さまざまな能力を結集して、今後いかに活動をしていくか、改めてビジョンを見直し、さらに強固な組織にする予定です!
Q:京大のURAのお仕事って、どんなこと?
一言でいうと、「研究環境をととのえる」ということ。
そこには、もちろん「支援」もあるし、「仕掛け」もあるし、「働きかけ」も、「発信」もあります。主役である研究者が輝くために、「どうしたらいいか?」をとことん考え、形にすることがURAの役目です。
Q:ずばり、白井URAが思う、「URAとは〇〇」って?
例えば、僕が考えるURAは「プロデューサー」のような存在。でも、職人もいれば黒衣もいる。それが京大URAの強み。
僕は、「プロデューサー」のような存在をイメージしていますね。プロデューサーにもいろいろありますが、音楽プロデューサーのように、アーティストが鼻歌レベルで歌ったものを、音付けして、今の世に求められている形に調整して作曲する。売れるようにジャケットを決める、デザインする、レコード会社を決める、資金を集める、場合によってはアーティスト同士でユニットを組む・・・みたいなイメージを持ってます。
あと、僕の場合は「支援している」というよりも、一緒に取り組んでいる!というモチベーションのほうが近いですね。
京大のURAには、さまざまなスキル、才能、マインドをもった人たちが集まっています。「この分野なら私に任せて!」といった「職人」から、マルチでコーディネートできる「プロデューサー」、影の立役者に徹する「黒衣」まで・・・。そしてそれぞれが、その強みをいかして研究者を支援しています。
それらの力を結集することで、KURAでは、京大の研究や研究者をより発展させることを目指しています。
なるほど! 主役である研究者が研究に専念し、研究成果をもっと世界へ飛び立たせるために、URAのみなさんが、実は!大活躍しているのですね。
京大のURA、その多彩なプレイヤーのみなさんを一部紹介します!
とにもかくにも「人ありき」。
そんな研究者を支える優秀な、そして個性溢れるURAのみなさん。今回は、そのうちの何人かをご紹介しますよ!
シッシッシッと笑いながら、個性派プレイヤーを采配する、URA室の総監督。
シニアリサーチ・アドミニストレーター/URA室長 田中耕司 Koji Tanaka
Q:現在の主なお仕事内容についておしえてください。
基本的には、URAの全体の統括かな。何から何まで!(笑) 。例えば・・・申請書の支援、コメント、アドバイスや、大学内の大きな研究プロジェクトの調整、大学全体の研究推進の(教員、事務など)橋渡し役など。もちろん、URAメンバーのさまざまな相談ごとにも対応しています。
あとは、URAメンバーへの目配りや指示も大事です。特に個性あふれるキャラが集まっているので・・・キャラにあわせた接し方なども意識しています(笑)!
Q:URAの仕事で、一番大切にしていることは?
まずは「人とのつながりを大切にすること」。URAの業務は、教員や事務職員、学外の人々など、さまざまな立場の人が関わってくるため、特に意識しています。
あとは「自分の時間を大切にすること」。仕事だけではなく、自分の世界もちゃんと大事にすることも大切だと思っています。良い仕事をするためにも、やっぱり振り幅は必要ですから!
Q:京大のURAの強みとはなんですか?
京大には、実にさまざまな分野の素晴らしい研究が山ほどあります。それも世界レベルの。そんな大学はなかなか無いですし、だからこそURAに関しても、京大には京大独自の支援の在り方があると思います。
その在り方の一つが、多様で豊かな研究があるからこそ「ヒューマンリソースをうまく組み合わせて、発展させるともっとおもしろい!」ということ。
シャープでエッジのきいた研究から、一見、すぐには役に立たなさそうでも継続することに価値のある研究まで、京大にはさまざまな研究領域がありますが、そんなバラバラにみえる研究を結びつけることで、思いもよらないおもしろい発展につながることもあります。
「結びつけて発展させる」研究の広がり方を、これからもっと手がけていきたい。それが出来るのが、京大の研究を支援するURAの醍醐味だと思っています。
Q:田中室長にとっての、URA(またはURAの仕事)とは?
しいて言うなら、「Explorer」かな。もっというと、探検隊を組織するようなイメージ。
未開拓の部分(分野)を、教員やメンバーとともにこれからも切り拓いていく。
まだまだ可能性は無限に広がっていますから!
困ったときの杉さま頼り。ネコとチームをこよなく愛する、URA室の駆け込み寺!
リサーチ・アドミニストレーター(副室長、統括・企画部門長、広報責任者) 杉原忠 Tadashi Sugihara
Q:現在の主なお仕事内容についておしえてください。
大きく分けると、「広報責任者」としての業務と、「統括・企画部門長」としての業務があります。
「広報責任者」としての業務はさまざまですが、現在手がけているものの一つに、研究特設サイト 「K.U.RESEARCH」 があります。文部科学省の「研究大学強化促進事業」の一環として企画、運営している京大の研究成果に特化したサイトなのですが、こちらの統括的な役目を担っています。メンバーとともに全体の構成を考えたり、取材対象を選定したり。難しいと思われがちな研究をわかりやすく紹介して、見る人がワクワクするような楽しいサイトを目指しています。
他には、国内外の広報関係のネットワークづくりなど。特に海外に向けた発信の仕方についての勉強会や会議へ参加したりもしています。現在、広報に特化したURAがいる大学は少ないので、京大ではここをさらに強化したいと考えています。それだけのタレントが揃っていますから。
「統括・企画部門長」としての業務は、簡単に言うと、みんなが働きやすくなるための労務管理全般です。仕事効率がアップするための気配りや調節、環境改善など、メンバーが常にベストなパフォーマンスをするために、これも重要と考えています。だから僕自身ができるだけ早く帰るようにしてます(笑)!
Q:研究職からURAに転身したきっかけは?
もともとは研究畑一筋でした。独立行政法人の研究所で研究員をやっていた時代に、一流企業人たちのとてつもない能力の高さを目の当たりにしました。プレゼン力や交渉力、短時間で説明するスキルなど、そこでさまざまなトレーニングを重ねていく中で、意外と自分にはこういったスキルを使った仕事が合っているのかもしれないと思うように。そんな時に偶然、URAの募集を発見したんです。
面接のときのエピソードがありまして。
面接官だった田中室長に、「研究者の支援側の仕事でもいいのか?」という質問をされました。それはつまり、「研究職に未練は無いか?」ということ。
そこで僕は、「もちろん未練はあります。でも、良い意味でです。京大の研究者のような、自分にとっては夢のような憧れの世界にいる研究者たちが『研究がし辛い・・・』と嘆いているのを聞くのは胸が痛い。そこで今度は支援という形で何とかしていきたいと思いました。『研究がこんなに楽しい!』と研究者に言ってもらえるようなお手伝いがしたい。」
・・・と、答えました。この発言で室長をだませたんじゃないかと(笑)。僕のきっかけはそういうことです。
Q:URAの仕事で大切にしていることは?
まずは、なんといっても「チームワーク!」
あとは、人が嫌がる仕事でも、率先して引き受ける!ということ。誰かがやらないといけないときには僕たちが引き受ける、そしてそれを任されるにふさわしい存在であるべきだ、という気持ちでいつもいるようにしています。困ったときに、真っ先に思い出してもらえるような存在になることを大切にしたいですね。
Q:杉原URAにとっての、URA(またはURAの仕事)とは?
うーん、難しい・・・
しいて言うなれば、ボクは「黒衣」かなぁ。それも、知識豊富な黒衣でありたいです。だから日々勉強しないと!
あと、イメージするのは指揮者の「カラヤン」。彼は理想とする音をオーケストラから見事に引き出せます。場合によっては、自分で楽器を弾いてウィーンフィルのメンバーに聞かせることで、自分のメッセージを伝えるのです。そんなURAを目指してます。
華麗なる経歴を、URAという新たな冒険にいかしたい! 京大の研究を世界とつなぐ、KURAの国際線。
リサーチ・アドミニストレーター(国際戦略部門) 河端理依子 Rieko Kawabata
Q:京都で暮らすのは初めてとお聞きしました。
父親の仕事のため、生まれてまもなくオーストラリアに移り住み、その後もイギリスやイタリアと、これまでのほとんどが海外生活です。ですが、日本、特に京都にはずっと住んでみたい!と思っていました。京都にきて約5ヶ月、京都は大好き。お寺巡りやミュージアム巡りなど、初めての京都暮らしを楽しんでいます。
Q:URAになる前はどのようなお仕事をされていましたか?
「Nature」や「Nobelprize.org」で科学系の記事の執筆や編集をしていました。いろんな国でイベントの取材やインタビューなど、さまざまな仕事に関わってきました。
URAになったきっかけは、Nature時代に、たまたまKURAのHPを見て。直感的に、これはおもしろそう!と思い、すぐに応募しました。
Q:現在の主なお仕事内容についておしえてください。
私が携わっているのは、主にチーム(国際戦略部門)で取り組む仕事です。京大の研究を海外に紹介するサイトや広報冊子などのメディアを制作したり、研究者のmanuscript(原稿)のチェックをし、ベストアドバイスをしたり。また、科研費の申請書を見て、その強みを引き出すためのアドバイスなども。その他、研究者へのインタビューや、大学関連の式典(ASEANオープンニングセレモニー等)などに同行し、運営に携わったりもしています。
Q:URAの仕事で、一番大切にしていることは?
チームとしての目標は、京都大学の国際戦略 「2x by 2020」 に掲げているもの。
すべてのプロジェクトは、必ずこれとリンクするということを意識して取り組んでいます。クリアなゴールがあるのはとてもやりがいがあります。
あとは、個人的に今大切にしていることは、なんと言っても日本語のスキルアップ! 怖がらずにどんどんコミュニケーションをはかるチャレンジ精神はもつようにしています。そのためにも、研究者や他のURAメンバーとも積極的にコミュニケーションをはかるようにしています。
Q:やりがいを感じるのはどんな時?
研究者と一緒になって、manuscriptを推敲して、だんだんとわかっていくのが楽しい! 最初は難しくて理解できない内容でも、わかる努力をして、徐々に理解できていくプロセスが大好きなんです!
Q:河端URAにとっての、URA(またはURAの仕事)とは?
私が思うURA(の仕事)は、「Adventurer」!
京大のすばらしい研究にどんどん出会い、理解し、それを世界とつなげていく。
見知らぬ世界に可能性を広げていく。ワクワクするような、まさに冒険だと思ってます!
さまざまなURAの活動。そのうちの一つをご紹介!
URAの携わる業務は、実に多岐にわたります。
中でも、「企画・運営・広報」支援と、広くカバーする支援活動の一つが「京都大学アカデミックデイ」。
京都大学アカデミックデイ2014 (9月28日(日曜日)開催)
アカデミックデイのテーマは、「研究者とみなさんの対話の場」。
最大のウリは、なんと言っても「100人以上の京大研究者に会える!」こと!
アカデミックデイ は、お子さんから研究者まで、文系、理系を問わず、誰もが学問の楽しさ・魅力に気付くことができる場となることを目指して、バラエティに富んだ企画を展開するイベントです。
- 「ニュースで見たあの研究のこと、もっと知りたい!」
- 「研究者って、どんな人たち? いつもどうやって研究しているの・・・?」
- 「この研究について、研究者に意見を言いたい!」
・・・などなど、日頃思っていることはありませんか?
研究者でない人たちと研究者が直接触れ合うことで、研究活動の成果だけでなく、研究者の人となりや研究のストーリーを伝えます。また、そこで生まれる対話や意見によって、研究者が自分の研究を改めてみつめ直し、日ごろの研究活動に反映させることも目的の一つ。
今年は9月28日(日曜日)に、京都大学百周年時計台記念館で開催しますよ。
研究者と立ち話(昨年の様子)
お茶を片手に座談会(昨年の様子)
ちゃぶ台囲んで膝詰め対話(昨年の様子)
「トマトって、なに?」「遺伝子からみた老化とがん」「不老不死のウルトラ動物ベニクラゲ」「プラスチックでつくる太陽電池」・・・など、聞いただけで、なんだかワクワクしてきませんか!?
ふだんなかなか触れ合う機会のない京大の多彩な研究や研究者たちと、一挙に出会うことが出来る、またとないチャンスです!
たくさんのワクワクやドキドキをご用意して、研究者がお待ちしています。
京大の研究成果の最前線はここでチェック!
研究特設サイト「K.U.RESEARCH」
「K.U.RESEARCH」 とは?
文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として、「京都大学研究者の活動や成果」「URAらによる研究支援活動の内容」を学内外へ広く伝えることを目的として、KURAが企画・運営する研究特設サイト。
- 最新の京都大学の「研究成果」を知りたい!という人は、 「研究最前線」
- 魅力的な京都大学の「学術研究」を知りたい!という人は、 「ドキュメンタリー 」
- 魅力的な京都大学の「人」を知りたい!という人は、 「 京大人間図鑑」
・・・などなど、さまざまなコンテンツをご用意して、みなさんに京大の研究の「今」をお伝えします!
まだまだあります! 研究者にうれしい、こんな支援。
「鎗」(京都大学外部資金公募情報サイト) ※学内ネットワーク限定
研究を進める上で必ず問題となる、研究費。新たな研究費を欲している研究者は少なくありません。
KURAでは公募情報を網羅的に閲覧・検索できるウェブサイト「鎗」を開発して公開しています。
ちなみに「鎗」の名称由来は、「金(ファンド )」+「倉(KURA)」=「鎗」から来ているそう。
「SPIRITS」(「知の越境」融合チーム研究プログラム)
未踏領域・未科学の開拓に挑戦する研究者。国際共同研究への展開を考える研究者。・・・
そんな研究者の新たな取り組みや国際化を、KURAでは積極的に支援しています。
ちなみに「SPIRITS」は、「Supporting Program for Interaction-based Initiative Team Studies」の略。
「京都大学のURAの実は!」、いかがでしたか?
今回はURAの代表としてKURAを取り上げて紹介しましたが、京大には他にも特定の研究科などを担当するURAがいて、それぞれに特化した支援活動に努めています。
すばらしい研究者や、彼らが生み出す研究は、京大の宝物。
京大のたくさんの宝物をより輝かせるために、URAもまた、絶え間なく挑戦し続けます。研究者とともに。
京大の研究は、今後ますますパワーアップしていきます! これからも目が離せませんよ!
KURAについて、詳しくはこちら
京都大学学術研究支援室
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