本学は、マダガスカルのアンタナナリヴ大学と大学間学術交流協定(MOU)を締結しました。アンタナナリヴ大学は、マダガスカル共和国の首都に位置する同国最大の国立総合大学です。2018年にはすでに本学の複数部局との間で交流協定が結ばれていましたが、双方の研究者および学生の学術交流を一層加速させるべく、このたび、山極壽一 総長や森哲 理学研究科准教授、佐藤宏樹 アフリカ地域研究資料センター助教らがアンタナナリヴ大学を訪問しMOUを締結しました。アンタナナリヴ大学からは、M. R. ラヴェルマナナ(Ravelomanana) 同学長を含む教職員一同が、また、在マダガスカル日本国大使館からは小笠原一郎 同特命全権大使が臨席しました。
調印式は、ラヴェルマナナ学長からの歓迎の挨拶で幕を開けました。その後、アンタナナリヴ大学と本学の架け橋的存在としてこれまで重要な役割を果たしてきたH. ラクトゥマナナ(Rakotomanana) アンタナナリヴ大学 理学部教授からもMOU締結に至る経緯の詳細な説明があり、今回の調印を契機とした今後の両大学の学術交流の進展に期待を寄せました。その後、小笠原大使を始めとする出席者一同が見守るなか、ラヴェルマナナ学長と山極総長がMOU文書に署名し、このたびの調印が完了しました。
調印式の後は、山極総長による基調講演があり、アンタナナリヴ大学と本学の学術交流の歴史やこれまで生み出されてきた共同研究の成果を紹介しました。1997年の共同研究開始以来の22年間に及ぶ両大学の協力によって、動物行動学や動物生態学、霊長類学を中心として着実に研究成果が挙がってきていることを具体的事例とともに報告し、また、今回のMOU締結によって森林生態学や遺伝学、人類学、地域研究、経済学といった新分野における共同研究の一層の飛躍が広く展望されました。このたびの調印によって、アフリカの大学がまた1つ本学の重要なパートナーとして加わることになります。
またMOU締結の翌日には本学の研究者が活動している国立公園を訪れ、霊長類の行動観察や爬虫類の捕獲などのフィールド調査を視察しました。今回の視察では、マダガスカルの熱帯林が誇る生物多様性とその急速な減少を目の当たりにしました。MOU締結はこうしたフィールドでの共同研究や人材育成を強化し、あらゆる課題の解決にも貢献すると期待されます。