▲京都大学組換えDNA実験等安全管理規程
昭和54年9月25日
達示第21号制定
令和3年3月29日達示第16号全部改正
(令3年達16・題名改称)
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 安全管理体制(第3条―第10条)
第3章 実験計画の審査及び関連事項(第11条―第14条)
第4章 実験施設等の管理及び保全並びに安全確保のための措置(第15条―第22条)
第5章 譲渡及び譲受に係る申請、承認及び情報提供(第23条―第26条)
第6章 教育訓練及び健康管理(第27条・第28条)
第7章 緊急事態発生時における措置(第29条)
第8章 雑則(第30条・第31条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 京都大学(以下「本学」という。)における組換えDNA実験等に係る安全の確保に関しては、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「法」という。)、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則(平成15年財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号。以下「施行規則」という。)及び研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年文部科学省・環境省令第1号。以下「二種省令」という。)(以下「法律等」という。)に定めるもののほか、この規程の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程において使用する用語は、次の各号に定めるところによる。
(1) 組換えDNA実験 法律等の規定による遺伝子組換え実験及び細胞融合実験並びに自然条件において個体に成育しない細胞を宿主として用いる遺伝子組換え実験
(2) 第一種使用等 組換えDNA実験のうち完全には拡散防止措置を執らないで行う遺伝子組換え生物等の使用等
(3) 第二種使用等 組換えDNA実験のうち拡散防止措置を執って行う遺伝子組換え生物等の使用等
(4) 大臣承認実験 組換えDNA実験のうち第一種使用規程について事前に主務大臣の承認を必要とするもの
(5) 大臣確認実験 組換えDNA実験のうち二種省令別表第1に掲げる遺伝子組換え生物等を使用等する実験で法第13条の規定により当該使用等に際し拡散防止措置について主務大臣の確認を必要とするもの
(6) 機関承認実験 組換えDNA実験のうち、法第4条第1項ただし書きによる第一種使用等又は二種省令第5条により法第12条の拡散防止措置が定められているもの
2 前項各号に定めるもののほか、この規程において使用する用語は、法律等において使用する用語の例による。
第2章 安全管理体制
(総長の責務)
第3条 総長は、本学における組換えDNA実験に係る安全の確保について総括管理する。
(理事の責務)
第4条 研究規範担当の理事(以下「担当理事」という。)は、本学における組換えDNA実験に係る安全の確保に関し、総長を補佐する。
(委員会)
第5条 本学に京都大学組換えDNA実験安全委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、本学における組換えDNA実験に係る安全の確保に関し必要な事項を調査審議する。
3 委員会は、次の各号に掲げる委員で組織する。
(1) 組換えDNA実験に係る研究領域の教授又は准教授 若干名
(2) 前号以外の自然科学の研究領域の教授又は准教授及び人文・社会科学の研究領域の教授又は准教授 若干名
(3) 環境安全保健機構産業厚生部門長
(4) 研究推進部長
(5) その他総長が必要と認める者 若干名
7 委員長は、委員会を招集し、議長となる。
8 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が、その職務を代行する。
9 委員会が必要と認めたときは、委員以外の者を委員会に出席させて説明又は意見を聴くことができる。
10 委員会の事務は、研究推進部研究規範マネジメント室において処理する。
11 前各項に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。
(令4達39・令6達30・一部改正)
(部局長の責務)
第6条 部局の長(以下「部局長」という。)は、当該部局における組換えDNA実験の実施に係る安全の確保に関して総括管理する。
2 部局長は、当該部局における実験の安全の確保に関し必要な事項を定める。
(安全主任者)
第7条 組換えDNA実験を実施する部局に組換えDNA実験安全主任者(以下「安全主任者」という。)を置く。
2 安全主任者は、当該部局における組換えDNA実験に係る拡散防止措置及び安全の確保に関して、部局長を助けるとともに、組換えDNA実験を実施する者に対して指導及び助言を行う。
3 安全主任者は、部局長の申出を踏まえて、総長が命ずる。
2 関係部局長は、前項の規定により組換えDNA実験を総括管理する部局長を定めたときは、これを総長に報告しなければならない。
(実験責任者)
第9条 組換えDNA実験を実施しようとする場合には、実験計画の遂行について責任を負う者として実験責任者を定めなければならない。
2 実験責任者は、実験計画の立案及び遂行に際して、法律等及びこの規程を遵守し、組換えDNA実験の適切な管理監督に当たるものとする。
(実験従事者)
第10条 組換えDNA実験に従事する者(以下「実験従事者」という。)は、組換えDNA実験の計画及び実施に当たっては、法律等及びこの規程を遵守し、安全の確保について必要な配慮をするとともに、実験責任者の指示に従わなければならない。
第3章 実験計画の審査及び関連事項
(大臣承認実験)
第11条 実験責任者は、大臣承認実験を実施しようとする場合には、所定の申請書に当該大臣承認実験に係る第一種使用規程その他関係書類を添えて、部局長を経て総長に申請し、その承認を受けなければならない。
2 総長は、前項により提出された書類にかかる委員会の確認を経た上で、当該大臣承認実験に係る第一種使用規程の承認を主務大臣に申請するか否かを決定する。
3 委員会は、前項の確認に当たっては、当該大臣承認実験の内容に係る専門的知識を有する者に意見を聴くことができる。
4 総長は、第2項による申請に対し主務大臣から承認を受けた場合、当該申請に係る大臣承認実験の実施を承認する。
(機関承認実験及び大臣確認実験)
第12条 実験責任者は、機関承認実験又は大臣確認実験を実施しようとする場合には、所定の申請書を部局長を経て総長に提出し、その承認を受けなければならない。
2 総長は、機関承認実験については委員会の審議を経た上で、その実施の承認又は不承認を決定する。
3 総長は、大臣確認実験については委員会の審議を経た上で、当該大臣確認実験における拡散防止措置について主務大臣に確認を申請するか否かを決定する。
4 委員会は、前2項の審議に当たっては、当該機関承認実験又は大臣確認実験の内容に係る専門的知識を有する者に意見を聴くことができる。
5 総長は、第3項による申請に対し主務大臣から確認を受けた場合、当該申請に係る大臣確認実験の実施を承認する。
(実験計画の変更)
第13条 前条の規定は、実施の承認を受けた機関承認実験及び大臣確認実験の実験計画の変更(軽微なものを除く。)をしようとする場合に準用する。
2 前条第1項の規定は、実施の承認を受けた機関承認実験及び大臣確認実験の実験計画の軽微な変更をしようとする場合に準用する。
3 前項の場合において、総長は、軽微な変更であることを確認したときは、その変更の承認を決定する。
(規程違反時等の措置)
第14条 委員会は、組換えDNA実験が法律等又はこの規程に違反して行われていると認めるときは、総長に対して、当該実験の制限又は中止その他必要な措置について具申するものとする。
2 総長は、組換えDNA実験に関し、委員会から前項の具申を受けた場合は、当該組換えDNA実験を実施する部局の長に、当該組換えDNA実験の制限又は中止その他必要な措置を命ずることができる。
3 総長は、組換えDNA実験に関し、法律等の規定に基づき主務大臣から必要な措置を執るべきことを命ぜられた場合は、当該組換えDNA実験を実施する部局の長に、当該組換えDNA実験の制限又は中止その他必要な措置を命ずるものとする。
第4章 実験施設等の管理及び保全並びに安全確保のための措置
(第一種使用規程の遵守)
第15条 実験責任者及び実験従事者は大臣承認実験の実施に当たっては、当該実験に係る第一種使用規程を遵守しなければならない。
(実験施設等の管理保全)
第16条 部局長は、第二種使用等に使用する実験施設(以下「実験施設」という。)等には、二種省令第5条に定められた拡散防止措置又は主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を講じ、その管理及び安全の確保に努めなければならない。
2 実験責任者は、第二種使用等を実施する場合、その安全を確保するため、実験従事者に二種省令第5条に定められた拡散防止措置又は主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を講じさせなければならない。
3 実験責任者は、実験施設等について定期に、及び必要に応じて随時に点検を行い、二種省令第5条に定められた拡散防止措置又は主務大臣の確認を受けた拡散防止措置に適合するように維持しなければならない。ただし、安全キャビネットについては、1年を超えない期間ごとに検査をし、その結果を記録しなければならない。
4 実験責任者及び実験従事者は第二種使用等の実施に当たっては、二種省令第5条に定められた拡散防止措置又は主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を講じなければならない。
(安全の確保に係る調査・点検及び報告)
第17条 部局長は、安全主任者をして、定期に、及び必要に応じて随時に組換えDNA実験に係る安全の確保に関し必要な事項を調査及び点検させるものとする。この場合において、あらかじめその旨を当該組換えDNA実験に係る実験責任者に通知するものとする。
2 委員会は、必要と認めるときは、実験責任者又は部局長に対して、組換えDNA実験に係る安全の確保に関し報告を求めることができる。
(実験試料の取扱い)
第18条 実験責任者及び実験従事者は、実験開始前及び実験中において組換えDNA実験に用いる核酸供与体、ベクター、宿主等が、法律等の定める拡散防止措置の条件を満たすものであることを確認するとともに、実験試料については、法律等に定める拡散防止措置のレベルに応じて適正に取り扱わなければならない。
(実験の記録)
第19条 実験責任者は、実施した組換えDNA実験の実験内容等を記録するものとする。
(実験の終了又は中止の報告)
第20条 実験責任者は、組換えDNA実験が終了したとき又は組換えDNA実験を中止したときは、所定の報告書を部局長を経て総長に提出しなければならない。
(保管)
第21条 実験責任者は、遺伝子組換え生物等及び廃棄物の保管に当たっては、二種省令第6条の規定による拡散防止措置を執らなければならない。
2 実験責任者は、保管に関する記録を作成し、保存しなければならない。ただし、P2レベル以下の拡散防止措置を必要とする遺伝子組換え生物等及び廃棄物の記録は、実験実施の記録をもって代えることができる。
(廃棄等)
第22条 実験責任者又は廃棄の指示を受けた者は、遺伝子組換え生物等により汚染された物質等の廃棄に当たっては、当該物質等を廃棄前に確実に滅菌又は消毒しなければならない。
第5章 譲渡及び譲受に係る申請、承認及び情報提供
(譲渡及び譲受に係る手続き)
第23条 実験責任者は、遺伝子組換え生物等の譲渡又は提供(以下「譲渡等」という。)を行う場合(実験責任者が他の大学等で実験を継続するために遺伝子組換え生物等を移す場合を含む。)及び遺伝子組換え生物等の譲受又は取得(以下「譲受等」という。)を行う場合には、所定の申請書を部局長を経て総長に提出し、その承認を受けなければならない。
2 総長は、遺伝子組換え生物等の譲渡等を承認する場合には、譲渡等をされる研究者等の所属する機関の長の承認を受けなければならない。
3 総長は、遺伝子組換え生物等の譲渡等又は譲受等の承認又は不承認を決定したときは、その旨を部局長を経て当該申請に係る実験責任者に通知する。
(譲渡等に係る情報提供)
第24条 実験責任者は、前条第1項の総長の承認を得て、遺伝子組換え生物等を譲渡等を行う場合及び遺伝子組換え生物等を委託して使用等をさせる場合は、譲渡等を受ける者又は委託を受けてその使用等をする者に対し、所定の情報提供書を提出しなければならない。
(輸入に係る届出)
第25条 実験責任者は、生産地の事情その他の事情からみて、その使用等により生物多様性影響が生ずるおそれがないとはいえない遺伝子組換え生物等をこれに該当すると知らないで輸入するおそれが高い場合その他これに類する場合であって主務大臣が指定する場合に該当するときは、所定の申請書を部局長を経て総長に提出し、その承認を受けなければいけない。
2 総長は、委員会の審議を経た上で、前項の申請の承認又は不承認を決定する。
3 総長は、前項により承認又は不承認を決定したときは、速やかに部局長を経てその結果を当該申請を行った実験責任者に通知するものとする。
(運搬)
第26条 遺伝子組換え生物等及び廃棄物を実験施設外へ運搬する場合には、実験責任者又は運搬の指示を受けた者は、二種省令第7条の規定による拡散防止措置を執るとともに、当該運搬に係る容器に、当該生物が遺伝子組換え生物等であること及びその内容、運搬元、運搬先の機関及び責任者の連絡先を明示し、必要に応じ事故時の対応方法を示した文書を添付しなければならない。
2 実験責任者は、遺伝子組換え生物等及び廃棄物を実験施設外へ運搬する場合には、その都度、運搬する遺伝子組換え生物等の名称、数量並びに運搬先の機関名及び責任者名を記録し、保存するものとする。ただし、P2レベル以下の拡散防止措置を必要とする遺伝子組換え生物等の記録は、実験記録をもって代えることができる。
3 大量培養実験の場合において、LSC、LS1レベル又は特別な拡散防止措置で用いる遺伝子組換え生物等及び廃棄物を大量培養実験区域の外に運搬する場合には、P2レベル以下の拡散防止措置を必要とする場合と同様に取り扱うものとする。ただし、当該運搬物がLS2レベル以上で用いる遺伝子組換え生物等及び廃棄物の場合には、P3レベル以上の拡散防止措置を必要とする場合と同様に取り扱うものとする。
4 感染性を有する遺伝子組換え生物等の運搬は、前3項に定めるもののほか、その病原性に応じて、京都大学における病原体等の管理に関する規程(平成23年達示第20号)及び世界保健機構が発行する感染性物質の輸送規則に関するガイダンスに準じて行うものとする。
第6章 教育訓練及び健康管理
(教育訓練)
第27条 実験責任者は、組換えDNA実験の開始前に、実験従事者に対して、安全の確保のための教育訓練を行わなければならない。
(1) 実施しようとする実験の危険度に関する知識
(2) 拡散防止措置に関する知識及び技術
(3) 危険度に応じた微生物の安全な取扱い技術
(4) 事故発生時の措置に関する知識
(5) その他実施しようとする実験の安全の確保に関し必要な知識及び技術
3 実験責任者は、前項の教育訓練の計画及び実施に関して、部局の安全主任者に協力を求めることができる。
(健康管理)
第28条 環境安全保健機構長(以下「機構長」という。)は、実験従事者に対して、京都大学安全衛生管理規程(平成19年達示第8号)に定める健康診断を受けさせなければならない。
2 機構長は、実験従事者が感染性を有する遺伝子組換え生物等を取り扱う場合には、その実験の開始前に予防及び治療の方策について、あらかじめ検討し、必要に応じ抗生物質、ワクチン、血清等を準備するものとする。
3 機構長は、実験室又は大量培養実験区域内の実験従事者に感染性を有する遺伝子組換え生物等への感染のおそれがある場合は、直ちに健康診断を行い、適切な措置をとるものとする。
4 機構長は、前項の健康診断の検査の項目を別に定める。
第7章 緊急事態発生時における措置
(緊急事態発生時の措置)
第29条 実験責任者又は実験従事者は、次の各号のいずれかに掲げる事態が発生したときは、直ちに、その旨を当該部局長及び安全主任者に通報するとともに、安全の確保のための応急の措置を執らなければならない。
(1) 第一種使用等において、事故の発生により第一種使用規程に従うことができない場合であって生物多様性に影響が生じるおそれのあるとき。
(2) 第二種使用等において、施設等の破損その他の事故が発生し、法律等で定める拡散防止措置又は主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を執ることができないとき。
(3) 地震、火災等の災害により、遺伝子組換え生物等によって実験施設が著しく汚染されたとき、又は遺伝子組換え生物等が実験施設外に漏出し、若しくは漏出するおそれのあるとき。
(4) 遺伝子組換え生物等によって人体が汚染され、又は汚染されたおそれのあるとき。
2 当該部局長及び安全主任者は、前項の通報を受けたときは、委員会と連携して直ちに、必要な措置をとるとともに、当該部局長にあっては、これを総長に報告しなければならない。
第8章 雑則
(他の法令等の遵守)
第30条 実験責任者及び実験実施者は、実施する実験が法律等以外の法令、告示又は規則の対象となる場合、当該対象となる法令等を併せて遵守しなければならない。
(雑則)
第31条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、担当理事が定める。
附則
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
〔中間の改正規程の附則は、省略した。〕
附則(令和6年達示第30号)
この規程は、令和6年4月1日から施行する。