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京都大学メールマガジン Vol.52
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目次:
◆巻頭言:財務・施設担当理事・副学長 西阪 昇
◆総長メッセージ「人々との出会い(2)」
◆総長賞受賞 吉川 真由
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:財務・施設担当理事・副学長 西阪 昇
「財務体質の強化と愛着と誇りを持てるキャンパスづくり」
平成22年8月1日付けで、大西珠枝理事・副学長の後を受けて、理事・副学長に就任いたしました。当初は財務・広報担当でしたが、10月1日からの新体制では財務・施設担当となりました。
私は、昭和54年に本学法学部を卒業し、文部省(当時)に入省以来、文部科学行政の各分野を幅広く担当して参りましたが、このたび、31年ぶりに母校に戻りその運営の一端を担うことになり、大変うれしく思っております。私を育てていただいた母校への恩返しとして、本学のより一層の発展に全力を尽くしたいと考えております。
法人化後、国立大学を巡る状況は大変厳しいものがあり、特にこれからの数年、財務的にはこれまで以上の厳しい状況が予想されます。そのような中、大学のアクティビティを衰えさせることなくより発展させていくためには、予算の有効配分、効率的運用をはじめ、これまでの各種システムの見直しが必要であるとともに、より民間的経営センスも持って大学運営に当たり、外部資金の導入など新たな発想で多様な財源の獲得・創出を図っていくことも財務・施設担当理事の大きな仕事だと思っており、この面での取り組みも積極的に進めていきたいと思っております。
また、キャンパスの施設・環境は、大学の顔というべきものであり、歴史と風格があり、また、京都大学らしさが随所に感じられるものにしていく必要があると考えております。
3万人に近い学生や教職員が、それぞれ、様々な活動を行いながら日々の大半を過ごす場である大学は、ひとつの町とも言うべきであり、その本来の活動の場である教育研究スペースの整備充実はもちろんのこと、その他、スポーツ、文化芸術活動や仲間と一緒に飲食したり、語らう場の充実も重要だと思っております。
また、大学が持っている様々な施設・資産は、一般の方にとって、大変魅力的なものが多いと思います。隔地の施設を含め、一般の方々に、京都大学の活動内容をより知っていただくためにも、施設・資産の一般公開も積極的に進めていきたいと思っております。
そこで過ごす人たちが、愛着と誇りを持てるキャンパス、また、多くの人から、あこがれを持って見られる大学づくりを施設・環境のハード面からも進めていきたいと考えております。
いずれの事柄につきましても、関係の教職員の皆様はもちろん、これからの社会を担う若者である学生の皆様の声を積極的にお聞きし、取り組みを進めていきたいと存じます。
皆様方と力を合わせて、この京都大学を世界の中で一層魅力のある大学にしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◆総長メッセージ「人々との出会い(2)」松本 紘
前号より、私がこれまでの人生で出会った人々についてお話をさせていただいておりますが、今号は小学校時代を振り返ってみたいと思います。
2.小学校時代
今でも良く印象に残っているのは、低学年の頃、放課後に外で遊んでいると、友人のおばあさんに、よくその友人をいじめたと言われて箒(ほうき)で頭やお尻をたたかれたことです。決していじめたわけではありませんが、私だけでなく他の多くの友だちも、その箒の洗礼を受けました。当時は怖いおばあさんに追いかけられ、「ほっといて!」と思っていましたが、今思い返してみると、現代の社会では少なくなった、地域に住む大人が同じ地域の子供たちを育てる一種の地域社会の教育だったように思います。
4年生の担任の先生は、小学生の私から見るととても大柄で優しい女性の先生でしたが、図画工作の時間に、絵やレリーフなどの宿題を提出すると、「松本君が作ったのと違うやろ」と言われて非常に腹立たしい思いをしたことがあります。母が大切に保管してくれていたおかげで、今でも子供の頃の作品の一部は手元に残っており、たまに見返すことがあります。最近、高校1年生の頃に彫った新薬師寺の婆娑羅像の木版画を刷ってみましたが、改めて、子供のころから絵を描いたり、もの作りが好きであったと実感しています。
5年生の思い出は、初めて徒競走でビリを脱出できたことでした。当時の私は運動が苦手な頭でっかちのヒョロヒョロとした子で、「もやし」とあだ名がついていたほどでしたので、私に体力がついて走るのが速くなったわけではなく、徒競走で私より脚の遅い子が同じ組になっただけでした。それでもその友達が一緒の組で走ると知ったときは心の中で小躍りし、また同時に、そう思ってしまった浅ましい自分に嫌悪感を抱いたものです。
6年生の学校生活では、今でも忘れられない記憶と内面の動揺があります。それは一人の女の子の行動でした。子供のころは運動や勉強ができるとよく人気者になりますが、その女の子は特に運動や勉強が得意というわけでなく、教室では先生に質問されてもはっきり返答できないような内気な子でした。しかし教室の掃除の日になると、いつも率先して黙々と隅々まで綺麗に雑巾がけをしたり、他の子供が嫌がるトイレ掃除や危険な窓ふきなどを勇敢に手早くしたりしていました。その姿に、私はとても驚き、体が丈夫でなくひ弱で、掃除の時間にはいつも力の強い番長格の子供に命ぜられるまま行動していた私の脆弱な心には、番長の命令などものともせず、自分の正しいと思う作業をテキパキとこなしていたその女の子の姿は、とても精神的に成長した女の子であるという印象が強く残りました。その女の子の、普段の授業中の内気な態度からは全く想像できない行動であり、その姿から人は決してひとつの側面では計れないと知ることになりました。
(次号へ続く)
◆総長賞受賞:吉川 真由(生命科学研究科統合生命科学専攻 修士2回生)
この度、総長賞という栄誉ある賞を頂く事ができたことを、支えて下さった皆様に感謝申し上げます。私は2009年度ストックホルム国際青年科学セミナーに日本学生代表として参加させて頂きました。また、現在まで国際交流活動を通し、科学者が研究と同時に国際問題へ視野を広げることの重要性を発信して参りました。それらの活動に関して述べたいと思います。
私が参加したストックホルム国際青年科学セミナーは、毎年ノーベル賞週間行事にあわせて開催され、世界各国から若手科学者約25名が集まり、相互啓発を図るプログラムです。現地ではノーベル賞受賞者の講演や授賞式に出席し、受賞者に直接質問できる機会にも恵まれました。研究を楽しむ情熱こそが何よりの糧であることや、分野や国の枠を超えた研究者同士の議論が、視野の拡大や新たな発見に繋がることを学びました。
また、以前から続けてきた活動として国際交流活動があります。将来科学技術を使って国際貢献をすることに魅力を感じており、京都大学入学後、様々な地域を訪れ現状を知ることに努めてきました。例えば、内閣府青年国際交流事業により、2006年にドミニカ共和国に派遣され、ボランティア活動などを通しドミニカ青年との相互理解を深めました。国際貢献ミッションin China 2007では、中華全国青年連合会の協力のもと中国安徽省合肥市にて、植林事業を行いました。2007年度の日米学生会議では、アメリカ学生と開発問題について議論しました。
このような国際活動を通して改めて思うことは、関西の大学生の参加が極端に少ないということです。
現在はSTeLA(Science and Technology Leadership Association)という国際学生団体のスタッフをしています。これは科学技術と国際問題の架け橋になるリーダーシップを持った人材を育てることを目的とした日・米・中・仏の学生からなる団体です。昨今、科学技術に関連する国際問題は非常に多く、それ故に科学技術をバックグランドに持つ人材は重要です。STeLAが年に一度行う合宿型プログラムでは、世界中から理工系を中心とした大学生・院生を集め、MITのリーダーシップ教育機関より講師を招き、国際的なリーダーシップ能力を学んで頂きます。国際問題の多くには様々な利害関係者や社会的要因が絡み合っており、国際的な協力なくして解決出来ません。そういった意味でも文理を問わず少しでも多くの学生の方にSTeLAに参加して頂きたいと思います。残念ながらSTeLAスタッフは京都大学では私一人ですので、京都大学の学生の皆様と是非一緒に活動していけたらと思います。
◆大学の動き◆
○総合博物館 秋季特別展「昆虫標本からさぐる環境変動」を開催中
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101013_1.htm
○楽友会館竣工披露式を開催しました
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101009_1.htm
○中国科学技術大学で学術・学生交流を行いました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100910_4.htm
○大学文書館 企画展「語りかけるアーカイヴズ-大学文書館10周年を記念して-」を開催中!
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101205_1.htm
○経営管理大学院に国際協力銀行客員講座を設置しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101004_4.htm
○京都大学ベトナム同窓会設立会が開催されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100916_1.htm
○ベトナム国家大学ハノイとの共同事務所開所式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100918_1.htm
○博士学位授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100924_1.htm
○生存圏研究所MUレーダー25周年記念行事を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100903_01.htm
○医学部人間健康科学科の加山博規さんが第7回京都学生人間力大賞の準グランプリを受賞しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100911_2.htm
○栄誉
・柳田充弘 生命科学研究科特任教授が英国生物学会名誉フェローの称号を授与されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100929_1.htm
・西田栄介 生命科学研究科教授が武田医学賞を受賞しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100922_1.htm
◆研究成果◆
○分子のくさり数本レベルでの挙動を解明-省エネ・省スペース・高機能ナノ材料の開発へ-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101006_1.htm
○新たな細胞固定法を確立: 1分子追跡が過去50年の抗体マーキングデータに見直しを迫る
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101004_1.htm
○脳卒中の発症後におきる神経膠症のメカニズムを解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100930_1.htm
○京都市南部の高度集積地区(らくなん進都)におけるバス実証運行
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101001_1.htm
○100人の入院患者あたり29件の薬による健康被害(薬剤性有害事象)が発生していることを多施設研究で検証しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100928_1.htm
○なつかしさは何によって引き起こされるのかを明らかにしました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100924_1.htm
○高出力・高効率の新型半導体光源の開発に成功~深紫外領域(240nm)で、世界最高の出力と効率~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100927_1.htm
◆イベントのお知らせ◆
○京都大学春秋講義
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/101124_1.htm
○学術情報メディアセンターセミナー「数値シミュレーションと可視化実験」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101026_1.htm
○文部科学省先端研究施設共用イノベーション創出事業「ナノテクノロジー・ネットワーク平成22年度成果報告会」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101028_1.htm
○京都大学グローバルCOEプログラム 「普遍性と創発性から紡ぐ次世代物理学-フロンティア開拓のための自立的人材養成-」 第3回市民講座「宇宙と物質の謎に迫る」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101030_2.htm
○平成22年京都大学高知講演会「森・里・海」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101030_3.htm
○日本学術会議近畿地区会議学術講演会「日本の古代と現代-人とこころ-」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101031_01.htm
○公開シンポジウム「クラウド化する未来社会」 ~所有から利用へ~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101105_1.htm
○平成22年度エネルギー科学研究科公開講座 21世紀のエネルギー科学-核融合とセラミックスのお話-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101106_1.htm
○玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会(第49回)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101110_1.htm
○京都大学 東京オフィス「東京で学ぶ 京大の知 ~王朝文学の世界~」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101201_1.htm
○第26回京都賞 記念ワークショップ 先端技術部門「iPS細胞の誕生:その原理と再生医療への展開」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101112_1.htm
○第8回 iCeMSカフェ(アイセムスカフェ) ゆったり気分で、科学のお話しませんか?
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101113_4.htm
○京都府・京都大学こころの未来研究センター 共同企画シンポジウム「平安京と祭りと芸能」Heiankyo, Rituals and Performing arts
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101113_3.htm
○2010年度上賀茂試験地 秋の自然観察会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101113_2.htm
○第5回 京都大学ホームカミングデイ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/101113_1.htm
○総合博物館 レクチャーシリーズ no.84(ジュニアレクチャー) 「遺伝解析で絶滅危惧種を守る」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101113_5.htm
○京都大学経営管理大学院主催サービスイノベーション国際シンポジウム 「サービスの国際化-インバウンドとアウトバウンドのサービス展開-」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101113_1.htm
○工学研究科 低炭素都市圏政策ユニット 第3回シンポジウム
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101115_1.htm
○国民読書年 京都大学附属図書館 特別企画 「アカデミックに経済を読む:複眼的でグローバルな視点をどう獲得するか」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101129_1.htm
○第174回 アフリカ地域研究会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101118_1.htm
○原子炉実験所公開シンポジウム「原子力・放射線の有効利用に向けた先導的研究の推進」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101119_1.htm
○「第8回京都大学地球環境フォーラム」循環型社会を目指して ~廃棄物の処理と有効利用~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101120_2.htm
○11月祭
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101123_1.htm
○フィールド科学教育研究センター 第7回時計台対話集会 「森里海をつなぐ人づくり」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101120_1.htm
○名勝清風荘庭園 試験公開
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101126_2.htm
○シンポジウム「これからの会計専門職教育」~会計教育のグローバルスタンダードとは
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101127_1.htm
>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?c2=1
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