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  京都大学メールマガジン Vol.51
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   目次:
   ◆巻頭言:学際融合教育研究推進センター長 余田 成男
     ◆総長メッセージ「人々との出会い(1)」
     ◆総長賞受賞 長島 俊輔
   ◆大学の動き
   ◆研究成果
   ◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:学際融合教育研究推進センター長 余田 成男

 平成22年3月9日付けで学際融合教育研究推進センター長を拝命致しました。

 学際融合教育研究推進センターは、本学における複数の学問領域を横断する学際的な教育研究を機動的かつ柔軟に推進する実施体制の整備および学際融合教育研究活動の支援を行うことを目的に平成22年3月9日に設置されたものです。

 本センターには、平成22年9月現在「生命科学系キャリアパス形成ユニット」、「先端医工学研究ユニット」、「極端気象適応社会教育ユニット」、「統合複雑系科学国際研究ユニット」、「計算科学ユニット」、「グリーン・イノベーションマネジメント教育ユニット」、の6つのユニットが所属しており、それぞれのユニットにおいて様々な特色ある教育研究活動が行われ、魅力ある教育・研究成果が出されております。
 
  一方、大学の教育研究を取り巻く環境は大きく変化しており、萌芽的分野や潜在的に連携が可能な分野における学際融合的な研究および様々な教育・人材育成プログラム等、部局を超えた連携の必要性はますます高まっていくと考えます。そのような中で、本センターが学際融合教育研究における全学的な推進組織として今後より一層実質的な活動が行えるよう、センター運営委員会委員や各ユニット長をはじめユニットの構成員の皆様とご相談しながら、運営・活動体制の充実に取り組んでいるところです。各ユニットにおける活動実績や教育研究成果の学内外への発信をはじめとして、学際融合教育研究活動を支援し推進していく新たな仕組みを速やかに整えていければと思います。

 このようなセンター、そしてユニットにおける活動や取組みが近い将来、本学のあらゆる教育研究分野を刺激、活性化し、すばらしい人材の育成並びに輝かしい教育研究成果の創出につながるものと考えております。皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

◆総長メッセージ「人々との出会い(1)」

 今号より、私がこれまでの人生で出会った人々について少しお話させていただきたいと思います。彼ら、彼女らとの出会いが現在の私の礎となっています。

1.幼少期
  この世に生まれて最初に出会うのは、母親、そして家族です。
  父熊次郎が日本軍に伴って無線通信士として母芳子と共に中国大陸に赴任したときに私は生まれました。北京東北部に位置する蒙古砂漠の入り口の町、張家口(ジャンジャコ)が生誕地です。1歳で日本に戻ってきましたが、母の話では帰国の途中、発疹チフスにかかり骨と皮だけになり生死をさまよったそうです。ゼロ歳の記憶は残るべくもないと思いますが、不思議なことに、滞在していた張家口の家々の壁と窓や狭く曲がりくねった石畳、灰色の埃っぽい壁などの街の様子のほんの一部が古い絵画のように脳の中にこびりついています。生後1年で彼の地を離れたので、後に母親などから聞いて作られた記憶かもしれません。しかし、50年後に、母を連れて張家口を再び訪れた時、目にした街の様子は断片的とはいえ記憶の中の古ぼけたイメージとほとんど一緒であったことには驚きました。

 帰国後は、奈良市のやや南に位置する金魚で有名な郡山町(現 大和郡山市)の幼稚園、小学校、中学校で過ごしました。貧しいが楽しかったトタン屋根の倉庫を改造した借家の前での祖母ハツヨ、父熊次郎、母芳子、弟勝(京都大学名誉教授)の写真が残っています。


筆者の中学時代の家族写真。前列左より祖母ハツヨ、母芳子、父熊次郎。後列左が弟勝、右が筆者。

 父はタツタ電線で溶銅工として、また労働組合関係の仕事をしていました。中学生の頃、そのタツタ電線の重役さんから奨学金をいただいたときの父母の嬉しそうな顔は忘れられません。
  私の父も母も、小学校しか出ていなかったのですが、父はたいへんな勉強家で、家には古本が山のようにあり、いつも本を読んでいました。私もそれを読んでいればもっと親子の会話もできただろうと、あとから後悔しました。45歳過ぎで教育関係の課長に抜擢され、労働組合の委員もし、よく演説や人前で話していました。子供の頃に私が「お父ちゃんは人前であがれへんの?」と聞くと、「そんなん、いっぺんもあがったことない」と言っていました。私もその血をひいているのかもしれません。
 
  母は、自分が小学校しか行かせてもらえなかった悔しさがずっと残っていて、その分、教育熱心でした。小学生時代は満点をとるのが当たり前で、99点を取ったら、1点引かれたと、とても怒られました。ですので、友達もみなそう考えていると信じていました。風邪をひいた時も、母親は私を背負って学校へ連れて行きました。現代の教育ママのイメージとは少し違うのですが、中学生くらいまでは母親もずっと一緒に勉強をしていました。貧しかったため絵本が買えなくても、母親が友達の母親から借りてきた絵本を一所懸命自分の手で書き写してくれ、私と弟は毎日のように読んでいたことを覚えています。また、毎日一つ自然観察をしなさいという宿題があった時には、たいていの子が途中でやめる中、熱心な母親のもと、私は「ツバキを見ました」や「オビカレハの卵を見ました」など毎日続けて書いていました。その自然観察のノートは今でも残っており、大切な私の宝物です。そんな母親に育てられて、「真面目というのは大事よ」「手抜きしたらあかんよ」とずっと教えられてきました。
  当時一緒に暮らしていた祖母もとても教育熱心でしたが、特に、「物を大切にすること」、「もったいない」の心を徹底的に教え込まれたものでした。

(次号へ続く)

 

◆総長賞受賞 長島 俊輔

 昨年度、京都大学総長賞を受賞致しました京都大学医学部附属病院看護部の長島俊輔です。京都大学医学部保健学科看護学専攻に入学して、学部の卒業研究としてはじめて取り組んだ研究が、このような形で賞をいただくことになり、大変光栄であると同時に、私自身驚いております。

 4回生の卒業研究では、4月にゼミに配属され、文献を読み進み、食事行動と体内時計に焦点をあてて研究をすることにしました。そこで、シフトワークを食事行動という視点から考えることにしました。この領域は、栄養学以外の時間生物学の視点からはまだ欧文和文ともに論文が少なかったのですが、看護師と密接に関係があるので、このテーマを選ぶことにしました。

 シフトワークは先行研究からも明らかにされているように、人体の健康に対する悪影響は図りしれません。しかしながら、看護師をはじめとするシフトワーカーの人たちは、利便性や安全性の向上といった理由から夜勤をしている(しなければならない)といっても過言ではありません。したがって、これらの人体への影響のメカニズムを明らかにし、悪影響を予防することこそがシフトワーク研究の根本的な目標になると思います。

 今回の私の研究では、現場で働く看護師さんをはじめとする多くの方から応援も含めたたくさんのご意見をいただき、励まされ、私自身大変勉強になりました。

 その成果を「クロノタイプからみた交替制勤務の食事摂取行動に関する調査」として卒業論文に仕上げました。昨年暮れの第3回日本生理人類学会奨励発表会でこの成果を発表しましたところ、優秀発表賞をいただき、そのことにより、今回、総長賞をいただくことになり、大変嬉しく思っております。

 大学卒業後、4月から消化管外科の看護師として医学部附属病院(積貞棟6階)で働いておりますが、シフトワーカーの食事行動についての研究は明らかになっていることが少なく、まだまだやりがいのある研究分野であります。病棟勤務でシフトワークを実際に経験していますので、この経験も活かして更なる将来の研究につなげていきたいと思っております。

 現在は看護師として働き始め、日々の看護業務を覚えていくのに精一杯ですが、今回の経験も踏まえて、将来は研究もしてみたいと思っております。
 
  最後になりますが、日頃から支えて下さっている諸先輩に心からお礼を申し上げますとともに、今後も一層の努力をつづけてまいる所存です。

 
◆大学の動き◆


○農学部海外実地研修「北米・カナダにおける持続的農業」を行いました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100905_1.htm

○基礎物理学研究所に西日本最高性能のスーパーコンピュータシステムを導入
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100908_1.htm

○ベトナム人同窓会設立に向け動きだしました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100812_2.htm

○楠見明弘 iCeMS教授がアメリカ細胞生物学会の評議員に選出されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100826_1.htm

○松本紘 総長が日独6大学長会議に出席しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100730_1.htm

○栄誉
・山中伸弥 iPS細胞研究所長がバルザン賞を授与されることになりました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100909_1.htm

・北川進 iCeMS副拠点長と山中伸弥 CiRA所長・iCeMS教授が、トムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100921_01.htm

 

◆研究成果◆

○手のひらに載るほど超小型な電子線プローブX線マイクロアナライザーの開発に成功
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100922_1.htm

○コレステロールの調節メカニズムを解明(蛋白をコードしない短いRNAであるmicroRNA-33を欠損させると血中HDLが上昇することを見いだした)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100921_1.htm

○造血幹細胞や免疫細胞を造る司令塔細胞(ニッシェ)の正体をつきとめました
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100917_1.htm

○生体吸収性担体を用いた重症下肢虚血に対する血管新生療法~重症下肢虚血患者に朗報~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100901_1.htm

○理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査の結果について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100824_1.htm

○スマートマンションルームにおけるエコ生活実証実験の公開について~「エネルギーの情報化」実証実験(第一段階)~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100825_1.htm

 

◆イベントのお知らせ◆

○学術情報メディアセンターセミナー「計算力学の新展開」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100928_1.htm

○京都大学人文科学研究所 人文研アカデミー「現代中国-そのイメージ」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101021_1.htm

○「国際フォーラム」Singapore-Kyoto Joint Forum on Energy and Environmental Applications of Nanotechnology
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101001_1.htm

○CiRA一般の方対象シンポジウム2010「iPS細胞研究の最前線」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101002_1.htm

○関西支部「防災カフェ 模型を使って確かめよう! 地震で揺れる建物」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101002_2.htm

○日本火山学会公開講座「火山防災シンポジウム-あすの火山観測体制と火山防災を考える-」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101008_3.htm

○女性研究者支援センター相談事業・平成22年度特別講座「自己主張トレーニング」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101008_2.htm

○京都大学未来フォーラム (第45回)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/101014_1.htm

○京都府・京都大学こころの未来研究センター 共同企画 第8回こころの広場「うわさはなぜ歪む?-うわさに秘められたこころの秘密」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101016_1.htm

○平成22年度 京の府民大学 アフリカ地域研究資料センター公開講座 創立25周年記念シリーズ 「アフリカ研究最前線:生きる」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110219_1.htm

○平成22年京都大学森林科学公開講座「樹木から植物材料へ~木の来し方行く末~」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101017_1.htm

○井戸端サイエンス工房 サイエンス・カフェ第18回 「岩石の記憶」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101016_2.htm

○「竹の環プロジェクト」参加者募集~平成22年秋 竹林間伐ボランティア~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101016_3.htm

○宇治キャンパス公開2010 サイエンスが創る未来の社会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101024_2.htm

○学術情報メディアセンターセミナー「数値シミュレーションと可視化実験」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101026_1.htm

○文部科学省先端研究施設共用イノベーション創出事業「ナノテクノロジー・ネットワーク平成22年度成果報告会」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101028_1.htm

○京都大学グローバルCOEプログラム 「普遍性と創発性から紡ぐ次世代物理学-フロンティア開拓のための自立的人材養成-」 第3回市民講座「宇宙と物質の謎に迫る」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101030_2.htm

○平成22年京都大学高知講演会「森・里・海」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101030_3.htm

○芦生の森自然観察会 入門編「秋の森を歩きながら樹木観察をしよう」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101030_1.htm


 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?c2=1

 

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