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京都大学メールマガジン Vol.46
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目次:
◆副理事就任のご挨拶 川井秀一
◆総長メッセージ「彩・綾・文」
◆総長賞受賞者 単麟
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆副理事 川井秀一
昨年度より、「宇治・遠隔地キャンパス」担当副理事に就任しました。
京都大学には北海道から鹿児島(屋久島)まで全国に27箇所の(教員が常駐する)遠隔地施設が設置されています。複数の研究所と研究科のサテライト施設を収容する宇治キャンパスは約2000名の教職員・学生を擁する本学の第二キャンパスですが、そのほかにも単独の研究所・センターや部局に附属する小規模の観測施設や実験施設が全国各地に散在しています。それぞれのキャンパスは地域・組織・規模等極めて多様であり、固有の問題を抱えてもいますが、しかし、遠隔地の課題の多くは情報基盤と情報量の貧弱さに起因する情報格差に根ざすものであり、当面これらの是正が課題解決にとって重要だと考えます。
このため、昨年度は遠隔地キャンパス連携ネットワークを新たに構築し、回線グループ、種別、通信速度、管理部局、通信費用などの情報インフラの現状について調査を実施しました。さらに、遠隔地相互の情報の流れを円滑にし、たとえば、テレビ会議システムの導入など共通課題に対する取り組みや遠隔地キャンパスニュースの配信などの情報交換に努めています。遠隔地キャンパスニュースでは、昨年春に世界的問題となった新型インフルエンザに対する本学の方針や本部キャンパスの会議室情報など、緊急事項への対応に関わる情報、遠隔地教職員にとって有用と思われる情報を適宜配信しています。
情報環境機構と情報環境部を中心に進められている情報通信網の整備、とくに遠隔地における衛星ブロードバンド通信の整備は、僻地に位置する多くの遠隔地施設や観測所にとっては朗報であり、一刻も早い実現を期待する情報基盤です。
ところで、附置研究所・センターのメンバーが集い、「智と知のサロン交流」、「異文化・異分野間の交流・対話」に繋げる活動の場として「京都大学吉田泉殿」が発足してから3年が経ちました。教職員が自由に利用できる施設としても重宝され、ファックスあるいはインターネットで簡単に予約ができます。さきごろ懸案であった庭園の改修工事が完成しました。京都の地形・町並みと知の拠点としての京大(泉殿)を表象し、「枕の下を水の流るる」風情をもつ枯山水とビオトープの庭を組み合わせ、見て歩いて楽しい庭に生まれ変わりました。本学農学部造園実習のテーマに取り上げていただき、4回生の南佐和壱君(現M1)の提案した基本設計を基に作庭したものです。すでに池にはアメンボ-が泳ぎ、オープンサイトの野鳥が行き来しています。是非一度訪れてご覧ください。
◆総長メッセージ「彩・綾・文」 松本 紘
私は、ものごとの中心には人間関係があると考え、人と人とのつながりを大切にした言葉を使っておりますが、その中から今回は、「あや」という言葉を紹介したいと思います。
いろいろな場面ですでに述べていますが、京都大学には三つの「あや」が存在していると思っています。
一つ目は、「色彩豊かな」という意味の「彩」です。
京都大学は、個性豊かな精神を持った大学だと思っています。ユニークで独創的な人から伝統を大切にする人、革新の意気盛んな意見を持った人など、「自由の学風」の中、豊かで多様な研究者がそろい、非常に幅広い研究が行われています。
二つ目は、織物の「綾」。
京都大学には、縦糸と横糸が交差しあい多様な模様を描き出す綾織物のように、学生と教員、教員同士、人文系や理工系など異分野の人たちが、さまざまな考え方、思想を持ち、個人の意見を尊重しながらも激論を交わし対峙するという伝統があります。立場や分野を超えて多くの意見が飛び交い、それらが交差し合い、対話を通じ全体として京都大学という織物が出来上がっています。
三つ目は、狭義では文学をさしますが、広義では“学問一般”をさす言葉「文」です。
京都大学は学問の探究を目指すことを謳ってつくられました。学問の府にふさわしく、学問の源流を支えるということを認識して、昨今の行き過ぎた競争原理に振り回されずに、背筋を伸ばして京都大学らしい学問と伝統、自由の学風、学問の自由を尊重しながら進んでまいりたいという気持ちを、三つ目の「文」に含めたいと思っております。
京都大学には、かつて「京都学派」と名づけられた研究者たちがいました。彼らは、哲学的な思索を含めた実に幅広い研究を行い、押し付けられたものではない、既成概念を超えたテーマにアプローチし、独自の方法論も創成してきました。例えば、「分からないから行ってみよう」という冒険の形で進めてきたフィールド科学は広く知られています。ここには、地域の人々と接しながら、地域の人々のことを考え、織り上げてきた独自の学問体系があります。三つの「アヤ」を備えた研究姿勢というのは、そうした京都大学が歴史的に築いてきた研究スタイル、方法論のいわば発展形ではないかと思います。
ご紹介しました三つの「あや」はみなさんの周りにもひろがっています。とくに二つ目の「綾」、みなさんの周りに広がる「人の和」を大切にしていただきたいと思います。私は、学問といえども人間関係に大きく左右されると思っています。学問とは、と問われると「真実をめぐる人間関係」と自問自答しています。
◆総長賞受賞者 単麟
今月号からは、総長賞受賞者で、在学中の方による活動内容紹介を掲載していきます。
1年間、東田さんと塚本さんのお二人にご執筆いただきましたが、3月で終了しました。お二人から、特に一言ずついただいています。
・東田大志さん(ビラがパズルの人)
1年間、楽しく連載させていただきました。このメルマガを読んでビラを受け取りに来てくださった方、パズルをいつも解いてくださっていた方、本当にありがとうございました!
・塚本靖之さん(plaited polyhedra(編まれた多面体))
私にとって初めての執筆活動で、いろいろ勉強させていただきました。今後も、子ども博物館を中心に、多面体作りの面白さを伝えていきたいと思います。
それでは、第1回目は総長賞を受賞した単麟さんです。
今回、栄えある京都大学総長賞を賜りまして、誠に有り難うございます。この喜びを胸に、これからも学業や日中友好の発展のために一層の努力を致す覚悟でございます。
私の受賞理由の分野が社会活動であり、主要な活動内容を簡単に紹介したいと思います。
2008年から「京都大学中国留学生学友会」の会長、「京都地区中国留学人員友好聯誼会」の会長を務めています。両団体は、初めて日本にやってきた中国人学生への支援や相互扶助に留まらず、文化芸術、学術、体育の分野で様々な日中友好交流活動を開催しています。2009年には、私自身の発案で、中国、日本、そして他の国の留学生を会員とする「京都大学嵐山合唱団」を設立して、その中心的役割を果たしています。2009年10月には、京都大学中国留学生学友会が、「2009年日中青年文化交流公演」を百周年時計台記念館の百周年記念ホールにて開催し、嵐山合唱団も出演した他、神戸祭りなどにも参加しています。そして、日中両国の学術分野における交流を深めることを目的とし、京都大学の中国研究学者たちを会員とする「京都大学中国学者学術交流会」を設立して、経済、工学、生物、歴史等様々な分野の課題を巡って講演会や談話会を開催しています。
2009年に京都府知事から「京都府名誉友好大使」に任命され、自分の経験や熱意、創造力を生かして、多様化した計画と革新的な提案をすることにより、京都府民とのふれあいと京都府の国際化推進に微力ながら努力しております。また、国会議員・府市議員との意見交換会で留学生を代表する立場から留学生政策(留学生教育、学費、生活支援、就職、大学予算削減の問題も含めて)について提言しました。
※ 単麟さんの活動の詳細については、以下の報告書(PDFファイル)をご覧ください。なお、容量が大きい(2.1MB)ので、ご注意ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/m_magazine/back_n/documents/vol46_1.pdf
◆大学の動き◆
○薬学研究科が最先端創薬研究センターを創設しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100420_1.htm
○ハーバード大学OTDとの覚書を締結しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100322_3.htm
○副理事、理事補の任命について
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100401_1.htm
○工学研究科・医学研究科 「安寧の都市ユニット」 開所式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100402_4.htm
○宇治おうばくプラザでコンサートを開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100402_3.htm
○第2期中期計画を策定しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100331_1.htm
○平成22年度大学院入学式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100407_1.htm
○平成22年度学部入学式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100407_2.htm
○生存圏研究所が台湾国立成功大学計画設計学院と部局間学術交流協定を締結しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100402_1.htm
○新入生ガイダンスを実施しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100406_1.htm
○名誉教授称号授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100405_2.htm
○寄附研究部門「ボノボ(林原)研究部門」を新設しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2009/100330_1.htm
○iCeMSがUCLAカリフォルニア・ナノシステム研究所と学術交流協定を締結しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2009/100316_2.htm
○平成21年度「京都大学体育会スポーツ表彰」授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2009/100319_3.htm
○栄誉
・文部科学省「平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」に本学から5名が選ばれました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100405_1.htm
・望月拓郎 数理解析研究所准教授が日本学士院学術奨励賞を受賞しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2009/100301_1.htm
◆研究成果◆
○1つずつ分子を取り込む固体材料のナノ粒子化に成功 -ナノサイズの固体物質、ガス分離材料に新たな知見-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100419_1.htm
○総合学科高校における成果と課題-アンケート・聞き取り調査 等を通じての考察-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2009/100330_1.htm
○チンパンジーとヒトの顔の見方、顔の方向の見方
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2009/100324_1.htm
◆イベントのお知らせ◆
○京都大学春秋講義
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2009/100526_1.htm
○2010年度春季企画展「科学技術Xの謎-天文・医療・文化財 あらゆるものの姿をあらわすX線にせまる-」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2009/100829_1.htm
○スワーミー・アーナンダ師 特別講演会 「ヨーガと霊性」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100509_2.htm
○クロックタワーコンサート ~京都大学と京都市立芸術大学による交流の午後~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2009/100509_1.htm
○留学のススメ International Week
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100514_1.htm
○京都大学人文科学研究所・人文研アカデミ- レクチャ- 「中国近代の通俗小説を読む」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100527_1.htm
○総合博物館 レクチャーシリーズ no.78(ジュニアレクチャー) エベレストの謎(なぞ)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100515_2.htm
○京都大学エネルギー理工学研究所 第15回公開講演会 「日本の低炭素化を実現する革新的エネルギー」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100515_1.htm
○アジア・アフリカ地域研究研究科 オープンキャンパス 2010
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100519_1.htm
○第6回 食と農の安全・倫理シンポジウム 「食べて農業を支える-消費からの倫理を考える-」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100508_1.htm
○第1回 京都開催 キャリアセミナー
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100521_2.htm
○平成22年度京の府民大学 2010年アフリカ地域研究資料センタ- 公開講座[連続5回]「アフリカ研究最前線: 解る・アフリカ」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100925_1.htm
○Challenge! 最前線の行政官が語る 霞が関 (京都大学公共政策大学院・人事院)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/100603_1.htm
>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?c2=1
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