社会に貢献する情報学を志し
香港から京都大学へ留学。
仲間とともに学ぶ楽しさを知った。
工学部 1年生 Chung Mung Tim Steki
香港出身。日本語能力を有した優秀な人材を輩出することをめざす留学プログラムKyoto iUP(Kyoto University International Undergraduate Program)を利用して京都大学に留学、工学部情報学科に在籍。
大好きな数学が社会の役に立つ! 情報学を学ぶために日本へ。
私は昔から数学やパズルを解くのが好きで、中学生の頃に国際数学オリンピックに出場したこともありました。転機になったのは、高校の先生に勧められて数学的モデリングの大会に出場したことでした。私たちのチームは電気自動車のチャージステーションの効率的な配置をシミュレーションする課題に取り組みました。この経験を通して、データを分析することで実社会の問題にもアプローチできることを知り、さまざまなデータを扱う情報学に興味を持つようになりました。
情報学を学べる大学を探す中で、高度な技術やデータの蓄積がある日本に惹かれました。なかでも、京都大学は研究型大学として有名なことに加えて、Kyoto iUPという留学生受け入れプログラムを利用すれば入学前の日本語能力を問われず、学ぶ意欲を評価してもらえる点が魅力的でした。新しいことにチャレンジできるチャンスと考えて留学を決意しました。入学するまでは、「日本人はあまり自己主張をしない」というステレオタイプなイメージを持っていたのですが、京都大学の学生は自分をしっかり主張する人たちばかり。卒業式で恒例になっている仮装も、強い個性と自信のあらわれなのだと納得がいきました。
コロナの影響で、前期はすべての授業がオンラインでした。せっかくできた友達にもなかなか会えませんが、SNSを通じて交流を深めました。日本語の勉強も欠かせません。ニュース記事を読んだり、オンラインでリスニングとスピーキングを練習したり、授業以外でも日本語に触れる機会を作るように工夫しました。大変な時期ですが、大学のサポートのおかげで困難は最小限に抑えられていると思います。後期に入って対面授業も始まり、学科の友達や先輩と顔を合わせて交流できる機会が増えたのが嬉しいです。学科の授業と並行して受講している留学生向けの授業では、力を合わせて課題に取り組むグループワークが楽しいですね。
入学前の予備教育期間の一コマ。日本語の授業でグループワークに取り組む。
世界中から京都大学に集まったKyoto iUPの仲間達と。
成長するために必要なのは、間違いを恐れず発信すること。
京都大学で学ぶ中で励みになっているのは、日本語が流暢でなくても、間違っていたとしても、自分の意見や持っている知識を積極的に発言するクラスメイトの姿です。私の好きな名言に「人生において非常に厄介なのは、自分が正しいと思うために十分な知識は身につけられても、自分が間違っていることに気づけるほど十分な知識は身につけていないという状態である」という天体物理学者ニール・ドグラース・タイソンの言葉があります。そうした間違いに気づくためにも、自分が今信じていることを恐れずに周りの人に共有することはとても大切だと思います。
他者との関わりのなかで自分の誤りを正していくことは、情報化社会を生きてゆく上でも欠かせないことです。最近私は、深刻な社会問題になっているネット上のフェイク情報に興味を持っています。人はなぜ誤った情報を信じてしまい、どうすればそれを変えられるのでしょうか? 情報学を学ぶ学生として、将来的には心理学や政治学といった分野ともコラボレーションしてこの問題に取り組んでいきたいと考えています。
失敗を恐れず、そこから学べることもあると信じて、
勇気を持って発信する力