わたしの京大力

No.002
田中 花音

やりたいことがわからなかった私が、
本気で極めたいと思えた「サイエンティフィックイラストレーション」。

総合人間学部 4年生 田中 花音

Profile

神奈川県出身。京都大学に入学し、サイエンティフィックイラストレーションと出会う。体験型海外渡航支援制度「おもろチャレンジ」に参加して、フランス・パリの国立自然史博物館で科学イラストを学ぶ。所属する居合道部では第34回全日本学生居合道大会個人戦準優勝、同大会団体戦優勝といった戦績を残している。

いろんな分野を学ぶなかで、やりたいことと出会った。

 高校生のころは、やりたいことが定まっておらず、文系か理系かもぼんやりとしていました。京都大学の総合人間学部に進学したのは、分野を問わず総合的に学んで、自分のやりたいことを見つけられるのではないかと考えたからです。実際に入学してみると、「この人は理系で、この人は文系」といった区別をするのも難しいほど、幅広い興味、関心を持つ人が集まっている学部でした。

 そんな総合人間学部の授業で、図鑑の挿絵などを描くサイエンティフィックイラストレーターの仕事を知りました。イラストの技術に加えて、動物学、植物学、分類学など、描く対象に関する科学的知識が必要になるということで、まさに分野を横断するこの学部での経験を活かせる仕事なのではないかと感じました。もともと写実的なイラストを描くのが好きだったこともあり、この職業をめざそうと思って勉強をスタートさせました。

 日本では認知度が低く、学べる場所も働ける場所も少ない職業ですが、学部の先生がフランスのサイエンティフィックイラストレーターの方と知り合いで、海外にまで視野を広げれば、学べる場所や方法はあることがわかりました。そこで、3年生の冬に「おもろチャレンジ」に挑戦し、フランス国立自然史博物館でのインターンに参加しました。この博物館では、複数のサイエンティフィックイラストレーターが職員として働いています。ここでは植物画を中心に、鉛筆で描いたものを擦筆で擦って柔らかい質感を出すといったような、それまで知らなかった技法をたくさん学ぶことができました。絶滅したカエルについて、専門の研究者にそのカエルの特徴を聞き取りしながら、化石をもとに生きた姿を想像し、イラストで再構築するという課題もありました。写真などを見て描くのではなく、骨から身体の構造などを考えて描くため、生物学の知識もまさに不可欠で、とても刺激的な経験でした。

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卒業論文では、カエルを描く予定。「おもろチャレンジ」でフランスへ渡航し、国立自然史博物館で研鑽を積んだ経験を存分に活かす。

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部活は居合道部に参加。大会で団体優勝するほどの強豪チームである。師範がいない珍しい部のため、部員同士考えながら動く必要があり、さまざまな場面で役立つ力が身につく。

極めたいと思ったら、徹底的に追求できる環境。

 「おもろチャレンジ」で出会ったイラストレーターの皆さんの中には、家族に日本人がいる方や英語と日本語と武道を学んでいた方などもいました。とてもよい環境で勉強をすることができていたのですが、ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大し始めて、1カ月滞在の予定が、2週間ほどで帰国となりました。ただ、技法だけでなく、サイエンティフィックイラストレーターの団体や会報誌の存在、またイラストレーターの方々のSNSも知ったので、帰国後も情報に接することができています。今後は、そうした情報を手に入れながら、アメリカのオンライン講座も活用して、プロのサイエンティフィックイラストレーターをめざして勉強を続けます。

 入学したころは、やりたいことがはっきりとしていなかった私ですが、今では心からやりたいことに日々取り組めている実感があります。これも、いろいろな人や物事と出会うことができて、もっと知ろう、もっと学ぼうと思えばそれが可能な京都大学の環境に身を置けたから。本気で追求したいと思ったら、諦めずに続けていける場所であること。それが京都大学の魅力だと思います。

わたしの京大力MY KYODAI-RYOKU

「中途半端な興味じゃなくて、本気でやりたい」。そう思えたことを、諦めず、徹底的に突き詰める力

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