挫折のどん底で
中退しようかと悩む日々
京大短歌会との出合いが
私を救った。
歌人/現代歌人協会 理事長
栗木 京子
京都大学理学部 1977年卒業
湯川秀樹氏に憧れて理学部に入学したが、挫折はすぐに訪れた。講義や実験に全くついてゆけない。周囲は理系オタクの男子学生ばかり。私は孤立感を深め、中退して就職しようかと悩む日々だった。そんな中、偶然に短歌と出合って京大短歌会という学内サークルを知った。顧問は教養部のドイツ語教授の高安国世先生。先生のもとで短歌を詠むようになって、私はどん底から立ち直ることができた。ちなみに、湯川博士は日本文学にも造詣が深く、歌集『深山木』を刊行している。五年前、ある講座でこの歌集について語る機会があった。不肖の後輩としては、少しだけ恩返しができた気がしている。
2021.07.29 THU