大いに迷い、焦り、
時に「自由」に苦しむ
その焦燥こそが
自分を突き動かすのだ。
女子15人制ラグビー日本代表チームマネージャー
弘前サクラオーバルズ選手(女子ラグビー)
中嶋 亜弥
京都大学文学部 2009年卒業
京大を卒業して10年が経ち、ようやく最近、あの4年間のおかげで今の自分があると思うようになった。
先輩方とフーコーを輪読したこと、古式泳法を習得したこと、鴨川デルタをバレー部の仲間と徘徊したこと。それらはすぐに活きるスキルや知識ではなかったので、在学中や卒業直後の私は、果たして有益な大学生活を送れたのか、焦燥を抱いたものだ。しかし、今はわかる。難解な文章に体当たりしたこと、教科書を鵜呑みにしない真に科学的な態度、夢中な人々との出会い。間違いなく活きているのだ。だから、当時の私に、私と同じ気持ちの在学生に、「それがいいんだよ」と声をかけてあげたい。
…いや、やはりやめておこう。その焦燥こそが自分を突き動かすのだ。大いに迷い、焦り、時に「自由」に苦しむ隙間をくれるのが、京大である。
2021.07.15 THU