京大で触れた、
ひととひとを結びつける
磁力のような信頼の力が
小説を書きつづける糧。
作家
いしい しんじ
京都大学文学部 1989年卒業
もともと画家志望で、高卒ではいった大阪のデザイン事務所の社長から「いろんなことしてみい」とアドバイスされ、大学にはいりました。文学部に籍をおきながら、法学部、医学部、理学部と、さまざまな研究室、ゼミに顔をだし、つぎつぎとピンぼけな質問をくりだしました。驚くべきことに、どの教室の先生も、イヤな顔ひとつせず、世間知らずの半端学生を受け入れてくれたのです。歓迎コンパを開いてくれたゼミさえあった。このときに触れた、ひととひとを結びつける、見えない磁石のような信頼の力を糧に、いま僕は、小説を書きつづけています。先生がた、学生だったみんな、ありがとうございます。僕にアドバイスをくれた社長は、その後、iPS細胞研究所のマークをデザインされました。ひとを結びつける磁力は思いもかけないところまで作用します。
2020.06.25 THU