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2007年12月21日

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京都大学・立命館大学 連携協力に関する基本協定 詳細


1.協定の経緯
 今回、京都大学と立命館大学が協定締結に至った経緯は、以下のとおりです。

  1. 両大学は、その設立において、西園寺公望の尽力に負うところが多く、また、「自由の学風」、「自由と清新」と、ともに「自由」を学風としていること。
  2. 国立大学法人と私立大学法人という異なる基盤と、両大学の特色である「基礎研究志向・重厚性」と「応用研究志向・機動性」を連携させた学術交流の促進により、両大学における研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学技術の高度化が大きく図れると期待できること。
  3. 京都大学、立命館大学ともに、21 世紀COE プログラムやグローバルCOE プログラムなどで先端的研究・教育を精力的に推進している土壌があること。
  4. 本連携により、両大学の未来志向型の学風をさらに醸成させる相乗効果が期待できること。

2.協定の目的

  1. 多様性・多元性社会における、特徴ある大学間連携による相乗効果により、未来志向型の学風をさらに醸成、発展させます。
  2. 国立大学法人と私立大学法人という異なる基盤と両大学の特色を生かし、両大学における研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学技術の高度化を図ります。
  3. 環境、医療等、科学技術創造立国の礎となる基礎学術、産官学連携による社会貢献などの研究・教育・成果還元の迅速な推進を図ります。
  4. 京都大学、立命館大学ともに、21 世紀COE プログラムやグローバルCOE プログラムなどの先端的研究・教育をさらに精力的に推進しうる学術的土壌を涵養します。


3.主な連携内容

  • 概念図 クリックすると拡大図がご覧になれます。
    薬工連携、地球自然回帰への共同提案、基礎学術の連携と関連施設・設備の共同利用化、産官学連携組織の連携
      両大学では、これまでにも、医学・薬学での最先端技術である、超小型装置を用いたDDS(薬剤搬送システム)の研究を、主として臨床面からの取り組みと、マイクロマシンの開発というそれぞれの方向で鋭意研究を行っています。[資料1]
      また、21 世紀の喫緊の課題である、地球の自然回帰に向けた技術開発と政策への共同提案作業は、現在、両大学で行われている京都サスティナビリティ・イニシアティブ活動とも一体の極めて重要な人類的課題であります。[資料2]
      さらに、現在も両大学の基礎科学分野間で複数の共同研究が行われていますが、今後連携をとおした共同研究を行うメリットの大きい潜在的分野も両大学には多く存在します。その過程で、現状から一歩踏み込んだ、両大学が誇る先端的な装置・設備の共同利用への道筋をつけることも、本連携協定の大きな目的であります。[資料3]
      あわせて、大学で創造された知的資産の迅速な有効利用は、サスティナブルな社会の迅速な構築には不可欠であり、両大学が現在、鋭意推進しています産官学連携事業の大きな発展には、両大学の連携協定が大きな効果をもたらすことは明らかであります。[資料4]

4.両大学の特徴 − 共通点と異なる点

  • 両大学の密接な関係 − その生い立ちと基本理念
      京都大学と立命館大学は、その生い立ちと基本理念において、極めて密接な関係を有しています。すなわち、京都大学は、1895 年、時の文部大臣・西園寺公望の京都帝国大学の設置主張に基づき、1897(明治30)年に勅令により設置されました。一方、立命館大学は、1869(明治2)年、西園寺公望が私塾「立命館」を創設し、1900(明治33)年、文部大臣時代の西園寺の秘書であった中川小十郎が、立命館大学の前身となる「私立京都法政学校」を設立したことにはじまります。両大学の生い立ちには、ともに西園寺公望が大きな役割を果たしていると言えます。
      また、京都大学と立命館大学は、それぞれ「自由の学風」、「自由と清新」を長年、学風・建学の精神として培ってきました。大学の基本理念として、ともに「自由」を強調しつつ、独自の教育と研究を行い、多くの優れた研究業績と人材を輩出してきました。すなわち、両大学は、同じ精神を持って地球社会にこれまで多くの貢献を行ってきたと言えます。

    京都帝国大学本館(焼失前)京都大学の生い立ち
    ・1895(明治28)年
    文部大臣:西園寺公望
    京都帝国大学の創設計画案を立案
    日清戦争で得た賠償金をもとに
    第三高等学校を帝国大学へと昇格提案
    1897(明治30)年
    京都帝国大学設置に関する勅令が制定
    京都帝国大学が設置
    初代総長:木下廣次総長
    初代書記官(事務局長):中川小十郎(西園寺公望の秘書)
    清輝楼
    立命館大学の生い立ち
    ・1869(明治2)年
    西園寺公望
    私塾「立命館」を創設
    1900(明治33)年
    中川小十郎(西園寺の秘書)が
    「私立京都法政学校」を設立
    ・1905(明治38)年
    西園寺公望より「立命館」の名称継承の許諾を得る
    「立命館」の名称を継承
    ・1913(大正2)年
    校名を「私立立命館大学」と改称

    両大学に共通する学風・精神
    「自由」の精神
    □京都大学
    「自由の学風」を歴史的に育み、 学生個々人の自発自啓を重視する教育が特徴
    □立命館大学
    「自由と清新」を建学の精神とし、地球市民を育成する多文化共生教育が特徴

  • 両大学の有する異なる特色 − 「基礎研究志向・重厚性」と「応用研究志向・機動性」
      両大学の創設以来100年間の劇的な社会の高度化の中で、人文社系・自然科学系の学問領域は高度化・細分化され、ひとつの大学だけですべての領域を網羅することは困難な状況になってきています。実際、この100年間で両大学における学問領域の棲み分けも明確になってきており、京都大学では「基礎研究志向」、立命館大学では「応用研究志向」、と異なる学問領域を発展させてきました。学問領域の棲み分けは、京都大学の「重厚性」、立命館大学の「機動性」といった両大学の特色にも大きな影響を与える結果となっています。